二〇〇〇年、『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』で、子どもよりむしろ大人を魅了した原 恵一監督。『オトナ帝国』では、緻密に再現された大阪万博や昭和の商店街などでマニアの心をくすぐり、翌年の『嵐を呼ぶアッパレ!戦国大作戦』では、本格的な時代劇と恋愛をアニメの中に取り入れた。「クレヨンしんちゃん」というまさに子ども向けのキャラクターを使って、大人が楽しめる作品に仕上げる、その舞台裏はどのようなものなのか。原監督自身の肉声、多くの絵コンテやアイディアラフなどを使いながら、解説していく。
 また『ローレライ』樋口真嗣、『ピンポン』曽利文彦、『マインドゲーム』湯浅政明、劇団☆新感線の座付き作家中島かずき、CMディレクター中島信也など、多彩な人々が原恵一論を展開。
 編者の浜野保樹は「小津安二郎、木下恵介につならるホームドラマの担い手」と原を位置付ける。日本映画のもっていたホームドラマのよさは、いまやアニメでしか、引き継ぐことができないのだと。
 世界からも注目される日本アニメの世界を、21世紀を担う原恵一監督を通して見ていく刺激的な試みでもある。