日本民俗学の創始者、柳田國男が旅先から家族にあてた二七〇通の絵葉書の全容を初公開する。
 国内の絵葉書は、『雪国の春』『海南小記』として結実した旅をはじめ、明治三七年から昭和二六年にわたって投函されたもの。海外からの絵葉書は、大正六年の台湾・中国への旅、および大正十一年から十三年、国際連盟統治委員会委員として滞欧した先々から投函されたものである。
 絵葉書の写真は「柳田の見た風物」であり、柳田の関心を伝えるにとどまらず、当時の出来事や既に失われた風景など、興味が尽きない。写真と一体となって綴られた文面からは、柳田の肉声が聞こえてくるかのようだ。
 柳田の知られざる旅や、これまで資料の少なかった滞欧経験、貴族院書記官長辞任の日に書いた葉書など、新発見も多数含まれている。
 生前の柳田國男と親交のあった社会学者・鶴見和子氏による序文、長男夫人の柳田冨美子氏による証言を付す。