独学のすすめ
谷川健一  二三四五円
南方熊楠。柳田国男。折口信夫。吉田東伍。中村十作。笹森儀助。明治から昭和にかけて、既成の知識に縛られず、誇りをもって自分の道を切りひらいた巨人たちの生きかたを、民族学の第一人者が語る。「暖かで芯の強い語り口には、読者への強い信頼が感じられる」(日刊ゲンダイ)「混迷の時代に、静かな勇気を与えてくれる一冊」(静岡新聞)

異界歴程
前田速夫 二九四〇円
円空、菅江真澄、改宗宣教師など、安住の地を見出せない宗教者の眼に映った風土と、被差別に封印された白山信仰の謎──。文芸誌「新潮」の編集長として作家とその作品に接するかたわら、不可思議な伝承にまつわる地を歩いてきた著者の歴史・民俗学エッセイ。

余多歩き 菊池山哉の人と学問
前田速夫 二四一五円
東京市役所の土木技師をしながら全国の被差別部落とその人々に信仰されてきた白山神社をくまなく歩き、前人未踏の学問を残した民俗学者・菊池山哉(明治23〜昭和41年)。正史が抹殺し隠蔽してきた歴史と民俗の暗部を踏査した民間学者の「横すべり学問人生」をえがく初の本格評伝。

内田魯庵山脈 「失われた日本人」発掘
山口昌男 六九三〇円
埋もれていた内田魯庵の小篇に、失われた知の原郷が隠されていた──。近代日本の諸学、人類学、考古学、民俗学、美術史……は、学校のようなタテ型でない趣味や遊びに根ざした市井の自由なネットワークに芽吹き、魯庵はその象徴的存在だった。本書は、魯庵を手がかりに、近代日本の知の最良の部分と、粋な日本人たちを壮大な規模で掘り起こす、歴史人類学の達成である。

沖縄は歌の島──ウチナー音楽の500年
藤田 正 二五二〇円
沖縄は歌にあふれた島である。古典音楽も島唄も新しい沖縄ポップスも、身近にある。そのウチナー音楽の素晴らしさを、様々な歌、人、エピソードを交えながら解き明かす音楽読み物。17世紀の歌姫・恩納なべ、戦前、沖縄の音楽のレーベルをつくった普久原朝喜、世界的なヒットとなった「花」の背景……。音楽を通して語られる芸能の島、沖縄のすべて。

沖縄絵本
戸井昌造  二九四〇円
にぎやかな祭り。市場の活気。広大な米国基地。戦争の痕。豊富な民芸品。沖縄を忘れることのできない元日本軍兵士として、その豊かな自然と人に魅せられた一画家として沖縄と対話してきた著者の、五年間にわたる旅の成果。本島はもとより、離島のすべてをくまなく歩いて描きあげた一〇五枚の絵と文章で構成する、かつてない沖縄案内。

西表島自然誌 ──幻のオオヤマネコを求めて
安間繁樹 一九九五円
島を埋めつくす原生林。頻繁に襲来する台風。マラリア。西表島は人間の侵入を拒み続けてきた。この島に魅せられて二五年、気鋭の動物学者が書き下ろした西表島の自然と生活。ヤマネコの棲む島での人々の逞しい生き方を綴る。「自然とじかにつきあい、ともに生きようとする島民へのやさしい共感にあふれている」(日経新聞)

森の人四手井綱英の九十年
森まゆみ 一九九五円
九十歳を迎える四手井さんは、里山の発見者である。戦前は林野庁の技官として日本の山に入り、戦後は京大の教授として世界中の森を見てきた。森がどのように成り立ち、自然界のなかでどのように役立っているのか。これからどのように森を守ったらいいのか。聞き書きの名手・森さんが、四手井さんの人生に沿いながら、その学問と考え方について聞く。
怪物科学者の時代
田中聡 二四一五円
明治時代以降、近代科学に対し、古来からの文化との融合を図った人々がいた。佐田介石。井上円了。桜沢如一。福来友吉。寺田寅彦。橋田邦彦。南方熊楠。稲垣足穂……。彼らの一見怪しくとも大まじめな研究は、その時代の切実な知的闘争であり、その課題は近代を超えられぬ私たちのものでもある。科学のフォークロアとしての異色科学者列伝。

橋浦泰雄伝 ──柳田学の大いなる伴走者
鶴見太郎 二七三〇円
表題の橋浦泰雄とは? 柳田国男の高弟であり、柳田学という今につながる学問を組織した人物である。生協協同組合の創設者でもある。学歴は小学校卒。独学で文学や民俗学を学び、作家・尾崎翠や有島武郎との出会い、柳田国男との交流などを通じ、暮らしの中に役立つ民俗学を創り出した。歴史に埋もれた民間学者を、新進気鋭な歴史学者が追跡していく。

表記の定価は2004年11月現在のものです。定価、仕様は予告なく変更する場合があります。