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新宿は鳴子坂下にあった老舗の小さな沖縄料理店「壷屋」は、女主人である「おばちゃん」を慕うお客たちで連日にぎわっていた。
カウンターでビールをがぶ呑みし、酔うほどに口が悪くなり「バカヤロ」を連発、気に入らないお客は容赦なく叩き出してしまう「おばちゃん」は、ヘンクツだけども憎めない、不思議な魅力をそなえたひとだった。
この「おばちゃん」と著者の最後の交流の日々を描く「壷屋のおばちゃん」を軸に、ヒッピーのコミューンの四〇年後を訪ねる諏訪之瀬島への旅「海がむすぶもの」、子供の頃から家に居つかない性分だったその理由「私に『家』はいらない」など、珠玉のエッセイ群を一冊に収録。
奄美、沖縄、諏訪之瀬などの島々と東京を結ぶ旅の過程で生まれた、ちいさなドラマたち。過去の記憶と現在・未来をつなぐささやかで幸福な物語たち。かすかにつながる血縁・地縁をたどりつつ綴る、かけがえのなさと愛おしさに彩られたエッセイ集。
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