書く文章からだけ推測して、一部の人々にわたしはかなり「強面」の書き手だと思われているらしいのだが、ここに収められた大半の文章は、そういうものでない。一見したところ、尻切れとんぼのような文章が多い。あるいは、はげちょろけた芝生。わたしは「強面」というよりは「尻切れ」である。よって、この本は、わたしの真実(?)をよりよく伝えている。……語りの背景。この題名も本書の性格を的確に示している。語りは舞台の上で発せられ、それなりにはっきりしているが、背景は暗い。うらぶれ、茫洋としている。そして事実、わたしは、暗く、うらぶれ、茫洋としており、自分の書くものの中では、こういうテイストのものが、好きである。(あとがきより) |