一九四二年、ドイツ占領化のウクライナ。パン工場で強制労働をさせられていたディナモ・キエフとドイツ軍兵士のメンバーとのサッカー対戦が行われた。アーリア人の優位性が戦争を支える根拠であるドイツにとっては、負けるはずのない試合。ディナモの選手にとっては、勝ったら、命の保障はない。
運命の日、ディナモは5−1と大勝。三日後の再戦でも、5−3の勝利。
命をかけて、選手達が守ろうとしたものは何か? 祖国やチームへの愛? 崇高なスポーツ精神ため? ナチスに抗す? ともかく、ピッチ上で、負けるわけにはいかないのだ。
その後、選手たちは強制収容所へ。戦後生きて帰ってきたものは少ない。全員が射殺されたと長らく信じられていた「死の試合」の真実を、丹念に検証した、歴史スポーツノンフィクション。「キエフの栄誉」は、ディナモ・キエフ出身のストライカー、シェフチェンコも確かに伝わっているのだ。