世界の大都会、夢の都ニューヨークに暮らして十数年、人生の折り返し地点の年齢となり、ミッドライフ・クライシス(中年になり精神的にも肉体的にも衰えを感じた時に起きる不安定な状態)をむかえてしまった「僕」。こんな人生で良かったんだろうか、もっと自分を活かせる生き方をすべきではなかったのか…。
 ニューヨークでライターとして筆一本で生きてきた著者が、突如直面してしまった中年アイデンティティの危機。はたしてこの精神的危機からどうやって抜け出したらいいのか。
 言語、人種、文化などの壁だらけで、アジア系の人間にはとりわけきびしいニューヨークの現実、同じ精神的危機を抱えた者たちとの交流の日々、友人の不可解な自殺、そして落ち込みがちな「僕」をささえる「同居人」の猫たち……。
 青年期を過ぎ中年にさしかかろうとする男のゆれる日常を、ときにシリアスに、ときにユーモラスに、ときに鋭い文明批評をまじえながら描く、スローライフならぬローライフ・エッセイ。同じ悩みをかかえる同世代の読者たちへ贈る、心温まるエールです。