著者あとがき
「廻れば大門の見返り柳いと長けれど」
原作のイメージを、少しでも漫画でふくらませられたら。
そんな思いでのはじまりでした。
遊郭に寄り添って生きている大音寺前という特殊な地域の子供達が、
夏から初秋にかけて、季節のうつろいの中で、
精一杯生きている姿をどう表現するか。
はじめにキャラクター作りが大変でした。
たとえば、大黒屋美登利。華やかでおしゃまな幼い女王様像。
龍華寺真如の心の葛藤や、
高利貸・田中屋の正太郎。美登利に対するあこがれにも似た淡い片思い。
筆屋のおかみ。子供達に慕われているただ一人の大人など、
ミスキャストにならないように細心の注意をはらいました。
運よくそれぞれ名演技を披露してくれました。
二十四年の短い人生をあっという間に走り抜けていってしまった一葉。
現実の矛盾に思うようにならない心のあがきが、
多彩な個性あふれる登場人物を使い克明に描写しているその一人ひとりに、
一葉は自分を投影している。
そんなことを考えながら。
すずき大和 |