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東京市役所の土木技師をしながら全国の被差別部落とそこに祀られた白山神社をくまなく歩き、前人未踏の学問を残した民俗学者・菊池山哉(明治二三〜昭和四一年)。
正史が抹殺し隠蔽してきた歴史と民俗の暗部を踏査した民間学者の「横すべり学問人生」をえがく初の本格評伝である。
山哉は収集した資料に基づきつねに通説に挑み、大胆な仮説をくりだした。たとえば日本原住民=ウェッタ=オロッコ民族説。「別所」地名の俘囚移配地説。有名な河原巻物「戸倉文書」の発見。白山信仰の起源と伝播。
昭和八年から戦争をはさみ三十余年、郷土研究誌「多麻史談」(のちに「東京史談」)を発行、彼の研究は地に足のついたものでありつづけた。
『異界歴程』で注目される文芸誌『新潮』の元編集長、期待の第二作。
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