グリーンランドやアラスカなど世界の北端に住む民族・イヌイットのあいだには、たくさんの伝承が残されています。一年の大半を、雪と氷で閉ざされた世界ですごすだけに、彼らの想像力はエモーショナルかつ独特の誠実さにあふれています。
 そうした伝説をもとにデンマークのアニメ作家ヤニック・ハストラップが、一本の映画を作りあげました(7月、東京・恵比寿ガーデンシネマ他、全国順次公開)。
 物語は、わが子を死産したシロクマが、イヌイットの家から赤んぼうをさらってしまうところから始まります。やがて、クマの愛情をいっぱいにうけて育った少年は「クマでありたい」と願うようになるのです。
 現実にはありえない転生の願いは、現代の私たちに、自分の生き方を自身で強くイメージすることの重要性を伝えます。
 カラー絵本。今夏公開予定の映画は二〇〇三年ベルリン映画祭キンダーフィルムフェスト準グランプリ受賞。