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死とは何だろう? 寅さんとして生きた渥美清の死、臨終の妻を被写体としてシャッターをきりつづけた写真家荒木経惟の夫婦愛、聖と俗が背中合わせだったマザー・テレサとダイアナの死、江藤淳が残した四つの遺書、吉本隆明の溺体体験、死期を迎えたペットのコッコ……。
死について著者の芹沢さんは次のように言っています。
「死は唐突にやってくるように思える。唐突と感じられるのは、死の支配者が死んでいくものの外にいるからである。外にいる支配者とは自然であり、自然の運行であるように思う。そう考えていいのなら、死は人間の身体に組み込まれた自然という機械がその運行(運転)を止めることだということになろう」
だれにもいやおうなく訪れる死をめぐって、さまざまな葛藤が繰り広げられています。永遠の生を願って拒否する人、生きていたくないと自ら生命を絶つ人、他力にゆだねて静かに受容する人、それぞれの死の受け止め方があります。
本書は、現実の社会でおきた事件や文学作品を通して、死の今日的な意味を探るホットな内容となっています。
死を見つめることは「生」をより確かなものにするという著者の想いが込められた六二編のエッセイを収める。
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