七〇年代の風が吹きつけてくる。

 一九七九年十二月、植草甚 一が死んだ。そのとき、ぼくの七〇年代が終わった。
 七〇年代ーー前衛ジャズやロック、フォーク、単館上映の映画、アングラ芝居、ミステリーなどのサブカルチャーが次々と生まれた時代。
 高平氏はコピーライター、雑誌編集者、放送作家、演出家をしながら、それらが生まれてくる現場にいた。七〇年代を書くにはもっともふさわしい著者だ。
 幻の雑誌『ワンダーランド』から『宝島』へ。テレビ番組『笑っている場合ですよ』から『今夜は最高』へ。植草甚一、赤塚不二夫、浅井慎平、山下洋輔、タモリ、所ジョージたちと仕事をし、精一杯遊んだ、おかしくも混沌とした日々がよみがえる。
 七〇年代に青春の渦中にあった人にも、遅れてきた人たちにも必読の本。

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