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プロローグ CR406スタジオ
平成十四年(二〇〇二)年九月三十日。
二十八歳のぼくにとっても、生きていれば百八歳になる徳川夢声にとっても、この日は、記念すべき一日になったと思う。
実は、この日の夜から、『宮本武蔵』(ラジオ関東・現ラジオ日本)の物語放送が再スタートしたのである。吉川英治の原作、福田蘭童の音楽、そして、徳川夢声の語り。
再放送を含めると二十八年ぶり、本放送でいうと昭和三十六(一九六一)年十二月九日の第一回放送より、四十一年もの月日が経過している。
この夜、飯田橋にあるぼくのつとめ先に、内藤丈志さんというやや長髪の男性が訪ねてきた。神楽坂にある編集プロダクションにつとめる三十歳の編集者で、飯田橋と神楽坂は目と鼻の先だけど、お互いに顔を合わせるのはこの日が初めてだった。ぼくのつとめ先も編集プロダクションだ。狭い事務所には、ほかに誰もいない。
「徳川夢声の本を出したい」
(本文より)
この本の話はこうして始まった。
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