まえがき

「あの連載は、単行本にならないんですか?」
 と、時々質問される。あの連載というのは、「ワコール・ニュース」でやっていた、『現代短歌(みじかうた)』。僕に「歌人」という肩書がつくようになって、初めての連載だった。
 半年の約束でスタートしたのに三年続いた。
 連載終了したのが三十一歳の誕生日前後で、今年の九月で三十五歳になったところだから、あれからまた四年もたってしまっているのだ。
 連載の担当者は小林昌史さん。たしか最初は「枡野さんの短歌の成立事情みたいなものをエッセイで明かしてもらえませんか」といった依頼だったと記憶している。記憶ちがいかもしれないが、なにしろ七年もたってしまっている。
 短歌の成立事情をそのまま書くのはちょっとと思って、はぐらかすように、でも真剣に書いていたら、断片的な自伝のようになっていた。
 女性の読むPR誌に載るのだからと考えて、数少ない恋愛経験をなるべく書くように心がけたのだけれど、数少なすぎて。数少なすぎて。