はじめてムービーカメラを
手にしたのは6歳のときだ。
少年時代、一日は朝9時に映
画館ではじまり、午前3時に
そこで終わった。
映画を撮る前から、対独レ
ジスタンス運動に加わってい
たときに、ある人物への純粋
な称賛から、メルヴィルと名
のった。そう、『白鯨』のハ
ーマン・メルヴィルだ。
*
フィルム・ノワールの巨匠
メルヴィルがみずからの映画
と人生について語った。
いまなお忘れがたい『海の
沈黙』『いぬ』『サムライ』
『影の軍隊』『仁義』……そ
れらの名作はどのようにつく
られたか。
メルヴィルが遺した唯一の
「映画術」である本書は、若
い映画ファンには、埋もれた
傑作への再発見の書となるだ
ろう。と同時に、オールドフ
ァンにはたまらなく懐かしい
追憶の書である。
遺作『リスボン特急』とメ
ルヴィル映画の意味について
語った、映画監督・押井守氏
と作家・矢作俊彦氏の対談を
巻末に収録した。
*
映画よりも興奮させるもの
を何か知っているかい?
ーーメルヴィル
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