はじめてムービーカメラを 手にしたのは6歳のときだ。 少年時代、一日は朝9時に映 画館ではじまり、午前3時に そこで終わった。
 映画を撮る前から、対独レ ジスタンス運動に加わってい たときに、ある人物への純粋 な称賛から、メルヴィルと名 のった。そう、『白鯨』のハ ーマン・メルヴィルだ。

 フィルム・ノワールの巨匠 メルヴィルがみずからの映画 と人生について語った。
 いまなお忘れがたい『海の 沈黙』『いぬ』『サムライ』 『影の軍隊』『仁義』……そ れらの名作はどのようにつく られたか。
 メルヴィルが遺した唯一の 「映画術」である本書は、若 い映画ファンには、埋もれた 傑作への再発見の書となるだ ろう。と同時に、オールドフ ァンにはたまらなく懐かしい 追憶の書である。
 遺作『リスボン特急』とメ ルヴィル映画の意味について 語った、映画監督・押井守氏 と作家・矢作俊彦氏の対談を 巻末に収録した。

 映画よりも興奮させるもの を何か知っているかい?

ーーメルヴィル