実用書の食べ方
岸本葉子 一六八〇円
料理本、マナー集、こころの問題……毎年たくさんの実用書が出版されている。それらの本は、私たちのコンプレックスと欲望に裏打ちされている。ストレートに人間のホンネがでる実用書の世界をエッセイストが試した。その悪戦苦闘の日々を綴る体験エッセイ。

がん患者学
柳原和子 二七三〇円
自らもがんを患った著者が、五年生存をはたしたがん患者20人に深く、鋭く迫ったインタビュー集。患者たちは誰もが、代替医療、東洋医学など、複数の療法を取り入れ、独自の方法と心構えをもっていた。患者の知恵を集積する、患者がつくるがんの本。

がんと向き合って 
上野創 一四七〇円
26歳の新聞記者が突然、がんの告知を受けた。直ちに左睾丸の切除の手術を受けたときには、がんは肺全体に転移していた。著者は二度の再発を乗り越え、結婚もし、社会復帰をはたして報道の第一線で働いている。朝日新聞神奈川版で投書1500通の大反響連載。

患者と医者は本当にわかりあえるか
堀夏樹 一六八〇円
なぜインフォームド・コンセントが必要なのか。医療とは病気を治すことで終わるのか。何人もの末期がん患者を看取り、自らも母をがんで亡くしたひとりの医者が、試行錯誤をきりかえしながら、患者と医者のよりよき関係を模索する、真摯で切実な記録。

癌とたわむれて
アナトール・ブロイヤード 宮下嶺夫訳 一九三七円
1989年、NYタイムズの名書評者として活躍していた著者が前立腺癌を告知された。そのとき彼はなぜか心の高揚を覚える。まるで人生の謎が解けだしたかのように。病と死の文学を繙き、死の瞬間まで自分らしく生き、死を向かえるスタイルを探求。秀逸なメモワール。

雨のち晴子 
山下泰司 一八九〇円
生まれてきた子どもは水頭症だった。いままで気ままに暮らしてきた夫婦の生活がハルパンの誕生で一変。はじめて生まれてきた子どもに障害があったとき、親は何に不安を感じ、どのように行動するのか。普通の家族の普通じゃない日常をつづる子育てエッセイ。

医療倫理の夜明け 臓器移植・延命治療・死ぬ権利をめぐって
デイヴィッド・ロスマン著、酒井忠昭監訳 三七八〇円
患者に秘密で行われた新薬の実験、脳死からの臓器移植、植物状態の娘の死ぬ権利をめぐりあらそわれた「クィンラン事件」など、急激な技術の発展に伴う医療倫理の問題を、事件や裁判を通して考えるノンフィクション。患者の権利と未来の医療のあるべき姿を提言する。

癒える力 
竹内敏晴 一五七五円
私たちの「からだ」はみずから癒える力をひめている。閉じこめられた「からだ」を目覚めさせ、新しい自分を見いだすには、どうすればよいか? からだの語ることばに耳を澄まし、人と人との響きあう関係をひらく本。

もうひとつの手話 ──ろう者の豊かな世界
斉藤道雄 一九九五円
日本には二つの手話がある。日本語を手指で表した〈手指日本語〉とろう者本来の言葉〈日本手話〉。テレビや通訳で見かける多くは〈手指日本語〉。一方、ろう者は〈日本手話〉でこそ本当の気持ちを表せるという。音声語とは全く異なる独自の単語、文法をもつこの豊かな言語を明かし、知られざるろう社会を描き出す、秀逸なノンフィクション。

脳死移植はどこへ行く?
向井承子 一八九〇円 
臓器移植という過渡期の医療のために、人間の死を「法律によって」変えてしまっていいのだろうか? 臓器移植法をめぐるさまざまな疑問を、わかりやすく解き明かしつつ、ドナーカードにサインするまえに、一人一人が考えておかなければならないことを、生活者の立場から明らかにする、書き下ろしノンフィクション。


*表記の定価は2003年10月現在のものです。定価、仕様は予告なく変更する場合があります。