問題を起こすこと、成績が悪いこと、父とうまくやれないこと、強情なこと。わたしのなかでコチコチと刻まれ、爆発しようとしているものは何なのだろう――。
 高校卒業を二か月後にひかえた十七歳のルーはつぶやく。
 ケンタッキーの田舎町にも学校にも、ロックと馬鹿騒ぎとウエイトレスのアルバイトにもうんざり。ルーの唯一の〈本気〉は、カメラだった。
 ルーはやがて恋におち、一方、スピード狂の親友ジニーは〈死のカーブ〉で加速する。「わたしは無敵よ」とアクセルを踏み、臆病なドライバーたちをみるみる追い抜いていったジニーが死んでしまった。取り残されたルーは、バイトで貯めた貯金をもって、ニューヨークのアートスクールへと町を出ていく。年上の恋人ジェイとの別れ。「これは君の人生だ、ルー。遊びじゃないんだよ」と彼。自分が求めるものを知るために、旅立たなくてはいけないときがある。
 自由へのカウントダウンから未知へと疾走する十代を描き、熱い共感をよんだフィクション。
 ケンタッキー州レイニーの十七歳は、日本のどこか小さな町の十七歳と、そっくり等身大だ。