晶文社ミステリ

ポー「モルグ街の殺人」以来160年の歴史を有するミステリ王国の広大な版図には、いまだ手つかずの空白が数多く残されている。黄金時代探偵小説の革新者としてあらためて注目を集めているアントニイ・バークリー作品をはじめ、本格ミステリから犯罪小説、異色短篇、ユーモア・ミステリまで、さまざまなジャンルの傑作を紹介、ミステリの新たな地平を切り拓くシリーズ。
◆四六判・上製
◆平均320頁
◆平均予価2200円
◆2002年6月中旬刊行開始
◆装幀=坂川栄治+藤田知子(坂川事務所)

*タイトルは仮題です。

被告の女性に関しては ※第1回配本

フランシス・アイルズ 白須清美訳
滞在先の夫人イヴリンに惹かれ始めたアランは、予想外の事件から絶体絶命の窮地に追い込まれてしまう。優柔不断な青年の揺れ動く心理を辛辣なユーモアをこめて描き、『殺意』以上の傑作とも評されるアイルズ=バークリーの到達点。

ウィッチフォード毒殺事件 ※第3回配本
アントニイ・バークリー 藤村裕美訳
町の話題を独占していた毒殺事件に疑問を感じたシェリンガムは、アマチュア探偵団を結成して調査に着手する。物的証拠よりも心理的な要素に重きを置いた「心理的探偵小説」を目指すことを宣言したバークリーの記念すべき第二作。

ロジャー・シェリンガムとヴェインの謎 ※第6回配本
アントニイ・バークリー 武藤崇恵訳
ラドマス村で起きた謎の転落死事件の調査に赴いたシェリンガムは、僅かな手がかりをもとに見事な推理を披露してモーズビー警部を唸らせるが……。探偵小説への痛烈な諷刺にみちたユーモア探偵小説。

絹靴下殺人事件
アントニイ・バークリー 富塚由美訳
続発する縊死事件に疑惑を抱いたシェリンガムの前に、やがて女を絞殺することに無上の悦びを覚える猟奇殺人者の存在が浮上する。連続殺人テーマにバークリーの才筆はここでも強烈な一ひねりを加えている。

壜の中の手記 ※第2回配本
ジェラルド・カーシュ 西崎憲他訳
無人島で発見された人骨に秘められた哀しくも恐ろしい愛の物語「豚の島の女王」、持ち主に災厄を喚ぶ〈呪いの指輪〉の話「破滅の種子」他、伝説の作家カーシュの奇想天外なアイディアと黒い笑いにみちた異色短篇傑作集。

廃墟の歌声 ※第9回配本
ジェラルド・カーシュ 西崎憲他訳
400年以上も数多の戦場を渡り歩く不死身の伍長、魔法の魚のお告げなど、奇怪な物語の数々と、稀代の天才詐欺師にして大泥棒(あるいは世界一の大ほら吹き)カームジンの冒険譚。恐怖と奇想の王国、カーシュランドへようこそ!

探偵術教えます ※第4回配本
パーシヴァル・ワイルド 巴妙子訳
通信教育講座で探偵修業中のお屋敷付き運転手P・モーランはすっかり名探偵気取り、習いたての探偵術を実地に移してみたくてたまらない。シロウト探偵の暴走が毎回とんでもない騒動をひきおこす爆笑ユーモア・ミステリ連作

歌うダイアモンド ※第5回配本
ヘレン・マクロイ 好野理恵他訳
清朝末期の北京を舞台に露国公使夫人の謎の失踪事件を異国情緒たっぷりに描いた歴史ミステリ「東洋趣味【ルビ・シノワズリ】」、女教師の分身が奇怪な事件を引き起こす「鏡もて見るごとく」他、作者の多彩な才能を証明する傑作全9篇を収録。

海を失った男 ※第7回配本
シオドア・スタージョン 若島正編
美しい手に魅入られた青年の異形の愛の物語「ビアンカの手」、首まで砂に埋まった男の内的世界を超絶技巧を駆使して描いた「海を失った男」に、本邦初紹介の中短篇を収録した不滅のスタージョン・クラシックス。

ヨットクラブ ※第8回配本
デイヴィッド・イーリイ 白須清美訳
人生に倦んだ富豪たちのひそかな愉しみを描いて、アメリカ探偵作家クラブ賞に輝いた名作「ヨット・クラブ」をはじめ、日常の裏側にひそむ現代の不安と恐怖を、ブラック・ユーモアに満ちた鋭い筆致で抉り出す異才イーリイの傑作群。

死を呼ぶ馬
ジョン・フランクリン・バーディン 今本渉訳
赤いハイビスカスを髪に挿した青年の話に興味を惹かれた主人公は、何者かに地下鉄のホームから突き落とされてしまう。病院で目覚めると、彼は自分の顔と名前を失っていた……。『悪魔に食われろ青尾蠅』の作者の破天荒な魅力に満ちた第一作。

プリーストリー氏の問題
A・B・コックス 小林晋訳
活気のない人生を送っていたプリーストリー氏は、ある夜、見知らぬ美女に助けを求められ、冒険へと乗り出すが、彼女と手錠でつながれたまま英国中を逃げまわるはめに……。ユーモア作家コックス(バークリー)の愛すべき佳品。

*表記の定価は2003年07月現在のものです。定価、仕様は予告なく変更する場合があります。