……私が思わずハッと息を呑んで目を釘付けにしたのは、同伴の女性のほうだった。まだ十五ぐらいの若い少女だが、ついぞ夢にもお目にかかったことがないような、顔かたちとも恐ろしいくらいの美しさなのである。光り輝くウェーヴのかかった茶色の髪が、ふさふさとウエストまで垂れ下がり、深みのあるヴァイオレットの瞳を、カールしたまつ毛の下からのぞかせているが、どうやらそれはおかしそうに歪めた真紅の唇とともに笑っているあんばい。それやこれやの数限りない魅力は、いずれも後々までも忘れられぬものばかりではあるが、その場でもっとも私が惹かれたものといえば、少女のバストの美しさと並はずれたサイズで、それがまた洗練されたフレンチ・スタイルのドレスでいちだんと引き立てられていた。なにしろ二つのふくらみにぴったり着いて、愛らしい形をそっくりそのまま浮き上がらせているのである。すらりとしたしなやかな体の動きは、若き女神そのまま。ショート・スカートの下からはすてきな両脚の運びを見せており、茶のシルクの透かし織りのストッキングは、人の気をひくに充分なすっきりとしたデザインだ。こんな魅力的光景から目をそらすわけにはいかない。だんだん私が、ご両人に近づいていくと、おどろいたことに、年上のほうのレディーが突然私の名前を呼んだのである。……