「経済学入門」は「哲学入門」でなければならないのであり、「哲学」なき「経済学」は単に数字の操作術にしかならないだおう。
 竹中半蔵の『みんなの経済学』とか『あすの経済学』とかがベストセラーになっているが、これこそ、「哲学」なき「経済学」の見本であり、こんな本が読まれているかぎり、日本経済、いや、日本に「あす」はない。
 竹中のような〃内閣の側用人〃はミクロの問題についてはマクロを語り、マクロについてはミクロの例を引いて、はぐらかすのである。
 彼らは、経済はむずかしいものだと主張したがるが、経済とは暮らしのことであり、それを守るかどうかは、むずかしいことではない。むずかしいと言って、一般の人に口出しさせないようにするのが、彼らの手なのである。(あとがきより)