??夫人の口は次第に熱をおび、いかにも淫らがましくファーニーの体を這い回っていた。
 ファーニーはといえば、すっかりどぎまぎして、身を震わせて、夫人のなすがままにまかせていたが、といってどうして自分がそんなことをされるのか、さっぱり意味もわからないのだった。
 これこそまさに、肉欲と高雅の、情欲に身を任せた淫らさと、心細げな羞恥とをきわだたせる、えもいわれぬ対照的な組み合わせとも思えた。
 それはあたかも、猛り狂ったバッカスの巫女に羽交いじめにされた天使、汚れを知れぬ処女とも見まがうばかりだった。
 ああ、わたしの眼前にあらわにくりひろげられたその姿は、なんと美しい裸身だったろうか! なんと見事な光景だろうか! わたしの体中の感覚は、この光景にすっかり目覚めてしまった!

 (ファーニー)
 あら、いけませんわ! なにをなさるんですの! おやめになって、マダム、ね、お願いですから??

 (ガミアニ)
 だめよ、そんなことをいってもだめ! あたしのファーニー、あなたはあたしの子供、あたしのいのち、あたしのよろこびなのよ! あなたって、あんまり美しすぎるんだわ! ね、おわかりになる、あたし、心からあなたを愛しているのよ! あたし、まるで気が狂いそうだわ??

 ファーニーはしきりに身をもがいたものの、なんのかいもなかった。