長いまえがき

1章 日本がオウムで失ったこと、世界が9・11で忘れたこと

ポスト9・11のアメリカで『A2』を上映する
オウムですべてのタガが外れた日本社会
その後のオウム信者撮影日誌
『A2』公開直前に、思うこと、惑うこと
世界の復元力を信じているから
確信犯から未必の故意へ

2章 ドキュメンタリーの理由

小人プロレスラーたちの「それから」
忘れられない少女の表情
ゆったりと静かに揺れ続ける眼
マンモスの牙について
ドキュメンタリーの同時代における価値

3章 かくも完璧な世界

戦後日本よ、おまえは間違っていなかったはずだ
「世論」という圧倒的なチャンピオン
ただこの事実を直視しよう
グリーン車のシートの上で
グレイゾーンにこそある「存在理由」
レバノンとシリアの国境を越えて
それが僕らの選択なら甘んじて自滅すべきだ
他者の営みを想う力を失ってはいないか
優しく穏やかで残虐な我ら
「森達也」に残されている存在意義
何かがどんどん露骨になっている
星になれない僕らにできること
京都からの手紙
なぜならプロレスを観ていたから
変らぬ憎悪の便乗の図式
どっこいカブトムシは生きている
判断の主体は受け手側なのだ
僕の足は哀しいほどに真直ぐだった

長くはないが短くもないあとがき