はじめに――余多歩きの楽しみ 

第1話 山の者のバラード 
島根県松江市 
 
民俗学者ハーン 小泉八雲の大黒舞唄採集 西田千太郎の日記
俗唄三つ 西から遠く離れて ロティとモラエス
夢見心地のハーン? 前世の快感と悲哀感
「怪談」を物語る亡霊ハーン 浦島の子 流浪という住まい方

第2話 ネズミの話
長野県埴科郡坂城町南條鼠 

大猫と大鼠 ねずみの地名 鼠宿口留番所
滝沢公庵の『当村古事記』 岩窟―群鼠―大己貴命を繋ぐ糸
ダジャレとこじつけ 袋をかつぐ者 鼠の浄土
こじつけ=故事つけ 上田の町 会地早雄神社
史実と伝説は混線する

第3話 青ケ島の新神
東京都八丈支庁青ケ島村 

青ケ島のモーゼ 流人の記した殺傷事件 徐福伝説・為朝伝説
疱瘡流行と為朝神社 人を神に祀る風習

第4話 白太夫の家
 愛知県岡崎市菅生
「還らざりし人」菅江真澄 秘した郷国
白太夫・オシラ神・白山神 みちのくの白山社 鄙の回廊

第5話 南海の平家伝説
 鹿児島県名瀬市浦上

浦上の有盛神社 鬼界島の天皇さん
ロシア文学者昇曙夢の奄美研究 モリ信仰の転位
介在するニンブチャー

第6話 魔法の谷
岐阜県吉城郡上宝村双六 

ガンちゃんの読経唱和 奥飛騨双六谷の怪 ゴンボ種の本場
「高野聖」の舞台は架空か現実か 旧街道の落人伝説
鏡花の姫神信仰 上宝のエンクさま 円空と白山信仰
癩者円空 白山社が密集する高原川流域 棄老伝説・天狗伝説
遊行者の群れ 上宝村再訪 ゴンボ種=護法ざね
御嶽講の浸透 排除と受容の心理 歴史・民俗と文学の間

第7話 影の一族 遊部の裔
 奈良県北葛城郡新庄町笛吹ほか

遊部の故地 鎮魂儀礼としてのモガリ 
折口信夫「魂よばい」説 五来重「タマシズメ」説
葬送の道 葛城の古代 人麻呂の本貫地 歌垣と陵墓
河内と大和の王権対立 円目王と置目老媼 伊賀比自岐の謎
モガリの場からの追放 遊部はどこへ行ったか
難民・棄民となって 遊部の裔の定住地 聖と俗と遊
「祝」=放り、屠り、羽触り、葬り 死と再生の秘儀 
神が遊ぶ

第8話 マラーノ来日
 大分県大分市顕徳町

「生ける車輪」アルメイダ 異様に遅い昇進 
マラーノの宿命 癩者への親近 新キリスト教徒VS.新仏教徒
隠しの構造 異界という「非・場」

対談 ふたたび、独学のすすめ 
 谷川健一×前田速夫


 引用、参照した文献