桑田選手の復活を支える
武術家の技と思想

田中聡
『不安定だから強い 武術家・甲野善紀の世界』

巨人軍の桑田真澄選手をはじめ、様々な分野で、注目を集める武術家・甲野善紀。
人は普通、関節を支点にして、「テコの原理」で動く。逆に甲野師範はけっして突っ張らず、ふんばらない。その「不安定」な身体の使い方で、現役の関取やアメリカン・フットボールの選手もかわすことができる。
近代以前の人々は、ナンバ歩きをはじめ、同じような身のこなしをしていたという。その身のこなしを磨いて、剣の達人などが生まれた。
たとえば気配を消すとか、ものすごく高いところからヒラリと飛び降りるなど、伝説としか思えない剣豪の逸話にも、リアリティがあるという。
このような身体観は、私たちが常識と思っている身体観と、どのようにちがうのだろうか?
武術にとどまらず、その考え方に、人々はどんなヒントを得ようとしているのか?
頭でなく身体で考えるとは、どのようなことなのか?
甲野師範のところに通いつめた著者解き明かす、その技の面白さと思想の核心。
今やスポーツ界のみならず、一般企業の組織運営法、リハビリテーションへの応用など、甲野師範の活動は大きく広がろうとしている。
新しい感覚を身に付け、世界を楽しく生き抜くための、指南の書でもある。