おじさん」的思考

内田樹 一九九五円
「父性」について語ればフェミニストに反発され、戦争責任について語れば右派・左派双方から攻撃され、おじさんの立場はムズカシイ。リベラルでありながら、イデオロギー的に硬直もせず、肩肘はらない柔軟な考え方・生き方はないものだろうか?「常識」が通用しない時代において、成熟したよき「おじさん」として生きるための必読知的参考書。

癒える力

竹内敏晴 一五七五円
私たちの「からだ」はみずから癒える力をひめている。閉じこめられた「からだ」を目覚めさせ、新しい自分を見いだすには、どうすればよいか? からだの語ることばに耳を澄まし、人と人との響きあう関係をひらく道をさぐる。長年にわたる「からだとことばのレッスン」の現場での経験と洞察をもとに書かれた、いま孤立に苦しむひとにおくる本。

全面自供!

赤瀬川原平 聞き手 松田哲夫 二九八二円
赤瀬川原平の語り下ろしの自伝である。三十年にわたる友人の聞き手は松田哲夫。赤瀬川原平のラディカルな面が次々と暴かれていく。存在そのものがオブジェだった「ハイレッド・センター」時代からニセ千円札事件。路上観察での南伸坊や藤森照信らとの付き合い。『老人力』などの最近の活躍。大好きなカメラのこと……。学生時代の作品も含め40点ほどの作品も掲載。赤瀬川原平のすべてがわかります。

ハンナ・アーレント伝

エリザベス・ヤング=ブルーエル 荒川、原、本間、宮内訳 六九三〇円
革命と戦争、全体主義が吹き荒れた時代のなかで、公共性と人間の自由を問いつづけた政治哲学者ハンナ・アーレント。未発表を含む膨大な資料、可能なかぎりの関係者へのインタヴューをもとに、アーレントの全体像に迫る決定版評伝。ハイデッガー、ヤスパース、ブレヒト、ベンヤミン、ショーレム、ブロッホなど著名な人物が登場し、20世紀の迫真のドラマが展開する。「彼女の著作を読むよりもその思想がわかる」と絶賛された待望の翻訳。

レニ・リーフェンシュタール ―― 20世紀映像論のために

平井正 二四一五円
第三帝国の美神か。最高の映像作家か。オリンピック記録映画『民族の祭典』でナチスドイツの栄誉をになう映画監督となり、戦後もあくなき映像美の追求を続けるレニ。多彩な資料をもとにその生涯と仕事をだどり、美と時代との関わりに迫る力作評論。「現在のコマーシャルやスポーツのありかたを考えるうえでも示唆的な視点」(日本経済新聞評)

期待と回想 上・下

鶴見俊輔 各二四一五円
「私は不良少年だった……。」戦後日本を代表する哲学者が、七十余年にわたる自らの思索の軌跡を語りあかした。父母との葛藤。ハーヴァード大学での新しい記号論の哲学運動との出会い。「思想の科学」「べ平連」などの活動。桑原武夫、丸山眞男、吉本隆明らとのエピソード。読書、漫画、編集について──。明日に開かれた対話による思索的自伝。

隣人記

鶴見俊輔 二四一五円
人生を振り返ってみると、そこには多くの隣人たちがいる。小学校の同級生。アメリカで出会った哲学者。家族の人たち。そして時代を共に歩いた同伴者や先を歩いている人々。人々だけではない。書物もあり食べ物もありテレビも隣人。老いが深まるにつれ隣人はゆったりと姿を現わしてくるのだ。淡々とした年の重ね方の中ではぐくまれた死生観が聞こえてくる。

安住しない私たちの文化

姜信子 二七三〇円
戦前の日本の大衆歌謡「天然の美」が、中央アジアで流浪した高麗人によって歌い継がれていた――。歌・映画・ヒーロー……大衆文化は旅をする。国家や民族という枠組みからはじかれた人々の声と記憶を追って見えてきた、想像しない考えない私たちが世界のなかで変わるための近代史。「金子光晴『万国放浪』の東アジア版」(東京新聞)。

ただいま故障中! ──わたしの晩年学

上野瞭 二二〇五円
はてさて、人生いかに終わるべきか──。友の晩年に想いをはせる。土手の雑草に心を寄せる。本や映画に男と女のままならぬ人生をかいま見る。自らの意志で死を選ぶ「ハムレット法案」の成立を大胆に夢想する。歳を重ね、病いの待ち伏せにあって、はじめて思い至った日々に宿る幸福の感覚。児童文学者の痛快にして味わい深いエッセイ。

ぼくは本屋のおやじさん

早川義夫 一四七〇円
本と本屋が好きではじめたけれど、この商売、はたでみるほどのどかじゃなかった。小さな町の小さな本屋のあるじが綴る書店日記。「素直に語れる心のしなやかさがある。成功の高みから書かれた立志伝には求めがたい光沢が見いだせる」(朝日新聞評)「出版が直面する様々な問題を考え直す上で役に立つだろう」(日本経済新聞評)


*表記の定価は2003年01
月現在のものです。定価、仕様は予告なく変更する場合があります。