車椅子の高さで

ナンシー・メアーズ 青海恵子訳 定価二四一五円
人生半ばにして負った障害をどう受け入れ、生きる喜びを見いだしていくか……。29歳で多発性硬化症と診断された著者は、移動の自由をじわじわと失ない、やがて車椅子暮らしになる。病気の進行にともなう不安。介護者である夫との関係。性の問題、旅の喜びと困難。車椅子の高さから見た世界を豊かに綴る、知性とユーモアあふれる感動のエッセイ。

母、美しい老いと死

アンヌ・フィリップ 吉田花子訳 一七八五円
死にゆく母に、わたしは何ができるだろう? ままならない体をおして、ひとりで暮らす自由を守りぬいた母が、いま臨終の床にある。希望のない延命措置は退け、あたうかぎり自然な死をこの家で迎えたい──望んでいた最期をまっとうできるよう、医療者の力をかりながら娘はよりそう。九十歳で逝った母の最晩年を綴る切実な記録。

老親とともに生きる

向井承子 一八三五円
向井さんが老父母と同居しはじめたのは、1972年の春。「親孝行も数年のこと」と思った向井さんの「誤算」とは? 老父母との20数年の暮らしを記録し、日本の老人医療・福祉のありかたを根本から問い直す本。「けっして老人を見放さずに活路を開いてゆく著者の勇気ある知恵と誠実さに心を打たれる」(信濃毎日新聞・青木やよひ氏評)

おばあさんになるなんて

神沢利子 一六八〇円
くまの子ウーフは、どこから生まれたのか? 自伝『流れのほとり』を書くきっかけは? 創作のエピソードを織りまぜながら、童話作家は、自らの人生の歩みを初めて、ゆったりと話しだした。樺太の少女時代。戦後の貧しい生活。作家としてのスタート──。創作童話(「サクラ色のワンピース」「五つのクジラのストーリー」)も収録。

老親介護 こんなときどうする

川島淳子、敷田牧子 一九九五円
誰にでも必ず訪れる、親の介護。その時、暮らしはどう変わるのか? 二人の女性が介護の現場を徹底取材。誰もが直面する悩みや迷いをケース別にあげ、体験者や専門家の知恵から具体的な解決法を探る。ひたすら我慢の介護ではなく、介護する側の暮らしも大切にした、これからの介護とは? 慌てず、無理せず、取り組むために。ヒントに満ちた一冊。

できればムカつかずに生きたい

田口ランディ 一四七〇円
疾風怒濤の半生を送ってきた田口ランディは、何について悩み、考え生きてきたか。ひきこもりの末亡くなった兄のこと、大人に絶望していた17歳の頃について、犯罪被害者たちは恨みつらみをどう晴らせばよいか、プチ家出をする少女たちの心情とは……事件、心の病、家族間・世代間の軋轢などを題材に、ケタ違いの説得力でせまる人生指南コラム集。

自立する老後のために

高見澤たか子 二四一五円
老いの日々をどうやって生きるか。息子や娘の家族と同居する。あえて一人暮らしを選ぶ。老人ホームで暮らす。……日本で、ベルギーで、オランダで、それぞれの生き方を選択した人々と、その家族たち、彼らを支える病院や福祉施設を訪ねて、老後の本当の幸福とは何かを問う、書き下ろしノンフィクション。

猫の耳そうじ

工藤久代 一六三一円
ささやかな喜びこそが、思いがけず人生の糧となる。表題作ほか「花火」「化粧歴」「魚屋さん」「幸福の木」など、掌篇51。畑のはなしから道具のこと、自然の移り変わり、おつきあいのこと、年経てはじめて見えてくること──。なつかしい暮らしぶりや忘れかけていた振る舞いが、淡々とした筆致のなかから透けてみえてくる。珠玉の随筆集。

兄とアルツハイマー病

ナディーヌ・トランティニャン 佐藤潔訳  一九九五円
忘却の病に侵されたフランスの名優クリスチャン・マルカン。闊達な兄の変貌を受けいれるまでの苦悩と早期発見できなかった無念、愛と尊敬ゆえに揺れ動く心を、深い絆で結ばれた妹がつづる。アルツハイマー病患者と家族のながい歩みを伝える痛切な手記。

*表記の定価は2002年12月現在のものです。定価、仕様は予告なく変更する場合があります。