〈アラビアのローレンス〉みたいに大地を駆け抜け、熱く生きたい! 冒険文学に憧れ、アフリカを夢見て育った18歳のパリジェンヌが、ついに旅立った。たどりついたのはナミビアの奥地カオコランド。赤い粉と脂を裸身に塗る孤高の遊牧民ヒンバ族が暮していた。
 少女はヒンバの言葉で「風と共に行く娘」と名づけられ、首長の養女になり、伝統に溶け込んでいく。無数のプロポーズ。強烈なユーモア。神秘的な儀式。愛と生と死がきわどく隣りあうヒンバの生活。
ところが、一帯を水没させる政府のダム建設計画が持ち上がった。ダムが完成すれば、生活の源クネネ川も家畜の放牧地も、ヒンバの文化の基盤をなす祖先の墓も失われてしまう――。
 資本主義商品経済や観光化の波といきなり直面したヒンバたち。彼らと共に行動することで世界の不条理を知り、少女も大人になっていく。

 「流れ星がひとつ。願い事をする。世界がわたしに教えようとすることに、いつまでも耳を傾けられるようにと」(本文より)

 「人の魂は風のようなもの」(ヒンバのことわざ)。自らの中を吹いて道案内してくれる風に身をまかせ、夢の実現を恐れなかった少女の大胆&素敵な冒険ドキュメント。
 フランス本国でトレゾンドール賞受賞。
 いつか人生最大の旅に出ようと思っているすべての人に。