シルクロード・キャラバン |
アンヌ・フィリップ 吉田花子・朝倉剛訳 二四一六円 |
切りたつ峰を馬を連ねて進むキャラバンのリズム。様々な文化を生きる異郷の民との出会い。俳優ジェラール・フィリップ未亡人としても知られる作者が、一九四八年、革命前夜の中国シルクロードを旅した記録。「荒々しい自然を的確に描きながら、そこに住む人たちを温かい目で見ている」(朝日新聞、常盤新平氏評)。〔対談〕鶴見俊輔・長田弘 |
悠久の美ペルシャ紀行 |
V・サクヴィル=ウェスト 田代泰子訳 三三六〇円 |
名園シシングハーストの造園家として知られる女性詩人は、一九二六年英国を発ち、「悠久の国ペルシア」に旅立つ。盗賊をかわし、遊牧民と共に荒野をポンコツ車で駆け抜ける。吹雪のなかを、そびえたつ峰々を徒歩で越える。野生チューリップをめで、古代庭園で暝想にふける。凛として、香り豊かな紀行エッセイの名品。 |
踊る大地球――フィールドワーク・スケッチ |
山口昌男 二九八二円 |
フィールドワークはナイジェリアから始まった。インド、種子島、メキシコ、カリブ海、ペルー……。文化人類学者は世界の村々を歩き描いてきた。スケッチブックを開き点描すること、それは著者にとって自らの思考を鍛えることであった。100点の絵が白い頁の上に踊っている。絵の案内人は杉浦日向子と畑中純である。 |
兄とアルツハイマー病 |
ナディーヌ・トランティニャン 佐藤潔訳 一九九五円 |
忘却の病に侵されたフランスの名優クリスチャン・マルカン。闊達な兄の変貌を受けいれるまでの苦悩と早期発見できなかった無念、愛と尊敬ゆえに揺れ動く心を、深い絆で結ばれた妹がつづる。アルツハイマー病患者と家族のながい歩みを伝える痛切な手記。 |
ある父親 PUZZLE |
シビル・ラカン 永田千奈訳 一六八〇円 |
「ジャック・ラカンはわたしにとってどんな父親だったのか」世界に名高い精神分析学者の娘が、〈パズル〉の断片を集めるように記憶をたぐりよせる。家族の崩壊、思春期の終わりの苦しみ、死の床での拒絶……すべては父のせいに違いない。死んだ父と心をつなぐことはできるのか。涙は癒しにつながるのか。胸に響く凄烈なレクイエム。 |
アウトサイド |
マルグリット・デュラス 佐藤和生訳 二七三〇円 |
情熱の作家デュラスは創作の合間に「外の世界」を見つめ、未知との出会いに刺激を受けた。パリの裏町の無名の人々。三面記事をにぎわす男女の愛の狂気。犯罪者の真実……。女優バルドーやジャンヌ・モローの肖像。子どもたちへの宇宙をめぐる聞書。『愛人』に結実したインドシナ時代の回想など。デュラス文学の秘密をあかす27篇の名エッセイ。 |