『彷書月刊』という小さな雑誌があります。古本と古本屋さん、すべての本を愛する方のための情報誌です。毎号特集形式で、忘れられた人、忘れ去られようとしている人、物や事にスポットをあてるのです。この10月号は、特集中井英夫です。9月号は絵葉書道楽でした。
 古本と古本屋さんをめぐる雑誌だけに、そちらの新しい・古い情報も満載です。産声をあげたのは、ちょうど十八年前の10月号でした。A5判の四十頁。今では九十六頁。通巻二〇四号です。
 今年の九月、「『彷書月刊』は文句なしのリトルマガジンの凄玉だ」(亀和田武。朝日新聞・マガジンウオッチ欄)と。
 そんな雑誌の編集長が、この十八年を描きました。小さな雑誌の笑顔や泣き顔を綴りました。「なないろ文庫ふしぎ堂」の主人でもあるだけに、古本と古本屋さんの匂いが一杯の一冊です。