石神井書林 日録

内堀弘 二一〇〇円
近代詩集専門の古本屋さんがある。東京の石神井に店を構え、いまでは二十年が過ぎた。店売りではない。古書目録を全国に発信し店を営んでいる。宮沢賢治、福永武彦、寺山修司らの残した詩集を追う。表舞台から消え去った無名の詩人たちのことばを発掘するユニークな古本屋さんの日々。

古本屋 月の輪書林

高橋徹  一九九五円
消えた人、消された人、忘れさられた人。本が人であるなら、古い本から一人でも魅力ある人物を見つけ出し再評価したい。月の輪書林の古書目録「美的浮浪者・竹中労」には一万冊を超える古本が並び、世の本好きをうならせた。古本市場での手に汗にぎる対決、目録作りの醍醐味、どうしたら古本屋になれるのか……。本が乱舞し人が踊りだす奮闘記。

内田魯庵山脈 ──〈失われた日本人〉発掘

山口昌男 六九三〇円
一度も流行児にはならなかったけれど、当代きっての文人だった内田魯庵(明治元〜昭和4)。学校などの縦型組織ではない、趣味や遊びに根ざす市井の自由なネットワークに近代日本の諸学(人類学・考古学・民俗学・美術史…)は芽吹き、魯庵はその象徴的存在だった。今では消えてしまった知の風景と粋な日本人達を壮大な規模で掘り起こす歴史人類学の達成。

後ろ向きで前へ進む

坪内祐三  一六八〇円
1970年代初め、植草甚一はなぜ若者の教祖となりえたのか。江藤淳と福田恆在が語った保守性の現在におけるその意味とは。1979年に刊行された村上春樹の「風の歌を聴け」、椎名誠の『さらば国分寺書店のオババ』、柄谷行人の『反文学論』……この年を境に文学はどう変ってきたのか。などなど、8本が収められた、坪内祐三の最新評論集。

文庫本を狙え!

坪内祐三 一九九五円
『週刊文春』で好評連載中のコラム「文庫本を狙え!」が、ついに一冊になってお目見えする。文庫本の山の中、文庫本という雑踏の中を散歩するように、著者は毎週一冊の文庫を狙って歩いている。いまも。武田百合子、村上春樹、団鬼六、ベンヤミン、勝新太郎、ミラン・クンデラ、竹中労、江藤淳、殿山泰司、中道義道、小林信彦……154の文庫本が乱舞する。手にすると、もう眠ることは出来ない。

古くさいぞ私は

坪内祐三 二七三〇円
気鋭な評論家は、読書する日々である。趣味ではない。研究とも縁遠い。そんな生活を続けていると、書物の持っているアウラを感じ取り、本の魅力について話し合える人を嗅ぎわける嗅覚も身についてくるのだ。そこから発せられた読書と本に刊するエッセイ・書評と魅力あふれた楽しい一冊である。もちろん神保町との付き合い方もある。

ストリートワイズ

坪内祐三  二四一五円
街をひとつの大きな学習の場として、さ迷い歩いて行く。時に自分を見失いそうになりながら、身につけた知恵や知識。それが、ストリートワイズだ。福田恆存との出会い。丸山眞男の死で思ったこと。同世代の原辰徳の引退。大好きだった力道山のこと。それに真夏の読書……。街を歩き、そこで発見した新しい学問がここにある。

東京本遊覧記

坂崎重盛 二三一〇円
気ままな散歩が、至福の時である。風を感じ、梅の香りを嗅ぐ。片手に、その街を描いた本があればもっといい。タイムトリップしたり、主人公の気分にひたったり。そんな思いから生まれたのが、この一冊。読んで散歩し、散歩してから読む。露伴が漱石が鴎外が荷風が歩いた東京がぐんと近くなる。百冊の東京本が出揃っている。東京案内の決定本!

建築探偵、本を伐る

藤森照信 二七三〇円
人は誰でも読書の楽しみを持っている。ところが読書関係の本といえば、文学や哲学関係者によるものが多い。なぜだ! そこにストップをかけるのが藤森先生である。建築史家であり、建築探偵家であり、路上観察家であり、このところは赤瀬川原平家のニラハウスを建てた建築家だ。同時代を歩く建築家は、どんな本をどう読んできたのだろう。それが初めて明らかになる。こう御期待。

本の音

堀江敏幸 二一〇〇円
人生はいつも困難の連続。壁にぶちあたった時は本を読むのが一番です。恋に悩んだ時、孤独に苛まれた時、仕事に行き詰まった時…。解決のヒントが隠れている本84冊をテーマ別に紹介、そのエッセンスと読みどころを丹念に綴ります。きっと人生の一冊と呼べる本に出会えるはず。芥川賞作家が本の声に耳を澄ませ、本音で語る初めての実践的書評集。

*表記の定価は2002年11月現在のものです。定価、仕様は予告なく変更する場合があります。