核家族化、少子化、高齢化が急激なテンポで進む日本の社会で、人は誰しも孤独、疎外感に直面している。居場所がないと感じる人、人間関係で強い孤独感と挫折を味わった人などをもう一度ポジティブな生き方に導いてくれるのは、いまや言葉を持たない動物たちなのではないだろうか。しかし、ほとんどの場合飼い主よりも先に寿命をまっとうする運命にある動物たちとのつきあいには、いつも喪失の体験がつきまとう。
 本書は、家族同様に暮らしていた動物をなくした体験を持つさまざまな人々、さらには動物と人とのよりよい関係づくりを説く動物医師たちの証言をとおして、人と動物の絆、人と人とのつながり、生命の大切さ、新しい家族のあり方について考えるノンフィクションである。
 コミュニケーションが難しい時代に生きる私たちに、しあわせの場所、勇気のかけらを取り戻すことを教えてくれる犬や猫たち。その愛する動物をなくしたとき、人はその悲しみとどう向き合い、そこからどのようにして立ち直るのか。動物と出会い、暮らし、看取り、その後の喪失体験をくぐりぬけてきた人だからこそ語れる、感動のヒューマンドラマ。