哲学者・鶴見俊輔が、この五年間、向かい合い話し合った14人との対談集である。
 対座したのは、大江健三郎、金芝河、富岡多恵子、赤瀬川原平、多田道太郎、片岡義男、横尾忠則、奈良美智、福島瑞穂、西島健男、加藤典洋、赤坂憲男、室謙二、橋本治。
 話し合ったテーマは、老い、本とのつきあい、抵抗の方法、アメリカという国、日本という国、歴史とは……多事争論だ。
 哲学者の語りは、根源的であり、示唆に富むのである。米中枢テロについて、橋本治と語り合ったシーンを再現してみる。
 橋本治の趣味が編み物であることに注目し、鶴見は、世界の歴史の、日本の歴史の編み直しを主張する。それは、この地球上の資源の再配分の問題に行き着く。そのことを同時多発テロは、わたしたちに突きつけた、と。
 静かに未来を見据える。