高校教師だった笠井さんは高校中退者のためのフリースクールを自宅で開校した。「はじめて生徒がやってきたとき、それはうれしかったですよ」

 電器会社勤務だった藤井さんはタレント養成所に通ってテレビタレントになった。「名前がテレビに出るくらいになればなあと思ってね」

 酒屋を経営していた三星さんは若い頃の仲間たちとジャズバンドを結成して演奏活動をはじめた。「ギャラをもらってないんで余計なことを考えずに演奏だけ楽しめるんです」

 機械技師だった大崎さんは妻と二人、ウズベキスタンで日本語学校をはじめた。「いま思うのは、家内がよく賛成してくれたなあということです」

 ジャーナリストの青木さんは故郷の町にUターンして、自力で家を建てた。「晴耕雨読の理想的な生活だって? いやあ、そんな悠長な話ではないんです」

 サラリーマンだった小澤さんは自宅近くの商店街でもんじゃ焼きの店を開業した。「どうしたら会社以外の人間とつきあえるか、それが私にとって課題だったんです」

 特別な技能をもっているわけではない。あなたの隣りにいるような、ごく普通の人たちがどうやって幸福な定年後を実現させたか?
 すでに定年を迎えた人、これから定年を迎える人におくる、元気のでる大型インタヴュー集。