一人が三人 ──吾輩は目黒考二・藤代三郎・北上次郎である

目黒考二 一八九〇円
雑誌『本の雑誌』発行人は三つの顔を持っている。目黒考ニに北上次郎、そして藤代三郎。この“三人”が一冊になったのだ。目黒篇では、亡き父の横顔や姪の結婚話など心温まる物語が綴られる。藤代篇は、大井競馬場を皮切りに宮島競艇塲、さらにはロンドン競馬場訪問記が並んでいる。そして、おなじみ北上篇。90年代後半のお勧めミステリーの紹介だ。目黒ワンダーランドにようこそ!

ベストミステリー10年

北上次郎  二五四八円
血湧き肉踊らせる冒険。心を熱くさせる友情。ページを繰るのももどかしい、その面白さを満喫してもらいたい……。「面白い本の世界の探検家」北上次郎が、熱いメッセージを軽快な筆致にのせて贈る、一九八三年から一九九二年までの十年に刊行させた翻訳ミステリー読書案内・決定版。「その眼力はさえわたる」(共同通信系各紙評)

風の道 雲の旅

椎名誠  二六五〇円
マゼラン海峡に面した町で主人を待つ一匹の犬。モンゴルの草原で長いキセルから小さな煙りを吐き出している老人──旅する椎名誠の脳裏をよぎった、忘れがたい風景と人生の一瞬。心にしみいる24篇の物語。「物語に写真が付けられるのではなく、まず写真があって、そこに物語を創造するという試みがおもしろい」(『山と渓谷』評)

古くさいぞ私は

坪内祐三 二七三〇円
気鋭な評論家は、読書する日々である。趣味ではない。研究とも縁遠い。そんな生活を続けていると、書物の持っているアウラを感じ取り、本の魅力について話し合える人を嗅ぎわける嗅覚も身についてくるのだ。そこから発せられた読書と本に刊するエッセイ・書評と魅力あふれた楽しい一冊である。もちろん神保町との付き合い方もある。

読書でござる

白石公子  一八九〇円
十代のときに読みそこねた太宰治。五重人格者を描いた『五重目のサリー』に自分を重ねる。一人で暮すメイ・サートンに共鳴する。詩人・エッセイストがつづる読書の日々。藤沢周平、群ようこ、E・M・フォースターが話しかけてくる。電車のなかで、枕を背にし、恋の小説からミステリーまで、自在に読み自由に楽しむ、女性のための読書案内。

読書休日

森まゆみ 一九九五円
本を開く、それが私の自由時間……。読む、書く、雑誌をつくる、と活字を愛してやまない著者が綴る、書物をめぐる豊かな世界。幼い心を揺さぶられた『フランダースの犬』、『ゲーテ恋愛誌集』、そして幸田文『台所のおと』……地域・メディア・文学・ライフスタイルなど多彩なジャングルの愛読書のなかから、とりわけすぐれた百冊余をおすすめする。

ごはんつぶがついてます

南伸坊  一八九〇円
イラストライター・装丁家の著者の特選エッセイ集!「美学校」のころ。「ガロ」編集者時代。ツマにあてる手紙。深沢七郎さんに会いにいった日。私の葬式。無人島に持っていく本。格言の勉強。長井勝一さんのこと……。日々の暮らしをクスッと笑ったり、しんみりと思い出したり、シンボー・ワンダーランドの心温まる日々に御招待します。

黄色い部屋はいかに改装されたか?

都筑道夫 一八九〇円
かつて、あれほどぼくたちを夢中にさせた名探偵たちはどこへ行ってしまったのか。どうすれば、あのワクワクする謎ときの楽しみをもういちど味わうことができるだろうか。ユニークな推理作家・都筑道夫が、クィーン、カー、横溝正史などから現在作家の新作まで、さまざまの作品を縦横に論じ新しい本格推理小説の可能性を探る長篇評論。

名探偵ポワロの華麗なる生涯

アン・ハート 深町眞理子訳 三三六〇円
アガサ・クリスティーが生んだ20世紀最大の名探偵、エルキュール・ポワロ。犯罪捜査という芸を追求し、あまたの難事件を解決したこの男は、いったいどんな人物だったのか?「本書はポワロ物の主要作品を通して、その『生涯』の軌跡をたどり、ポワロの探偵術の特徴を、鮮やかに分析してみせる」(朝日新聞評)。ミステリー研究の白眉。

スコットランド・ヤード物語

内藤弘 二三四五円
市民の十人に一人が犯罪者だといわれていた十九世紀初頭のロンドンに誕生した、世界最初の近代警察、ロンドン警視庁(通称スコットランド・ヤード)の物語。豊富な図版や珍しいエピソードをまじえ、知られざる歴史を浮き彫りにした力作。「ビクトリア朝の歴史を警察組織に即して描く試みとしても、本書の視点はざん新だ」(信濃毎日評)

*表記の定価は2002年4月現在のものです。定価、仕様は予告なく変更する場合があります。