プロローグ ――私と名前と文化と世界
一つの名前と複数の名前
昔の名前で出ています
はじまりの場所
数量化と番号化
新しい名前、新しい世界

第1話 野蛮な野蛮な西洋文明
三国人とはだれか?
明白な天命
軍隊はマーチに乗って
近代国家と音楽
黒船のミンストレル・ショウ
洋楽のメロディ、愛国の詞

第2話 すれちがう眼差し、集まる眼差し
日中韓の互いを見る目
長崎・文人たちの明清楽
「ふるさと日本」のイメージ再編
眼差しを一点に集める
誘導の先は?
「渤海を夢見て」
戦争の風景の中の日の丸
太極旗の記憶

第3話 水俣発、流浪の風景のなかへ
故郷を棄てる旅
「流民の都」水俣
記憶1 「思い出が苦しいのよ。忘れられないのよ」
記憶2 「おばあさんは白いチマチョゴリを着ていた」
記憶3 「今度は自分が野口遵じゃ」
記憶4 「……ラグヨ/……と言うんです」
記憶5「日本人以上に日本人らしい」元朝鮮人少年飛行兵

第4話 「天然の美」を追って
「天然の美」から「故国山川」へ
コリョサラムとは
「天然の美」はどのように中央アジアまで行ったのか
ウズベキスタンのヴァイオリン弾き
追放と離散
より良く生きることのできる、 ここではないどこかにある故郷
記憶を語るということ

第5話 演歌の源流
私的体験としてのチョー・ヨンピル・ショック
韓国=演歌ポンチャックの葛藤
台湾にもド演歌があった
演歌の前に唱歌があった
韓国人歌手はなぜ演歌ばかり歌う?
ヨナ抜き音階、二拍子
愛国歌――韓国唱歌の始まり
教育と産業振興をになった「京釜鉄道歌」
「鉄道唱歌」メロディの朝鮮上陸
歌うと分かる日韓リズムの違い

第6話 大衆文化の肉体
チャンバラのリズムとスピード感
大衆文化は「国民の肉体」の文化
和服・チマチョゴリ・チャイナドレス
朝鮮の断髪令
香港映画の空飛ぶ剣士たち
漫才の紋切りとマンネリ
河内音頭の「色」と「欲」

第7話 亡命ロシア人たちの東アジア
ディアスポラ/離散の記憶
シャガールの絵
音の混血、クレズマー
「屋根の上のヴァイオリン弾き」の舞台
アメリカン・ラプソディのユダヤ人たち
ゴルゴ13、大鵬、スタルヒン
石光真清『誰のために』
出発点は人間
日本の交響楽と亡命ロシア人
「私の鴬」
上海交響楽団の歴史
上海のプーシキン像

第8話 上海、シャンハイ、SAHNGHAI
帝都と魔都
香港が記憶する上海
インディ・ジョーンズの魔都
バンスキングたちの上海
抗日独立運動の聖地

第9話 戦う映画
木蘭従軍
「アリラン」のメッセージ
李香蘭――服従か、裏切りか
越境する香港映画
ブルース・リーとナショナリズム
「怒りの鉄拳」の日本人
「西便制」と恨ハン
一九九三・韓国・新世代の時代の到来
美しい日本と私
「恨」の偽物論

エピローグ 世界に私の居場所はあるか
想像力について
二〇歳の頃の自分を振り返って
「純粋さ」はフィクション
私の好きなロックをめぐって
二人の崔

わが若き友よ! ――あとがき