本の都市リヨン

宮下志朗 三六七〇円
フランス、ルネサンス期。ヨーロッパの一大出版センターとして首都パリとしのぎをけずった「大市」の都市リヨン。ラブレーの作品をはじめ、数々の特異な書物を輩出したこの都市は、だが、書物の出現から百年余、歴史の表舞台から突然姿を消す。印刷・出版史上の黄金都市リヨンの興亡をあますところなく描きだした力作一〇〇〇枚。

小説、時にはそのほかの本も

川本三郎 二二〇五円
書物はいつでも気持ちを豊かにしてくれる。藤沢周平の描く強く心優しいヒロインに心揺さぶられ、花田清輝のひねくれた文体に、鋭い批評精神を見出し、はたまた大江健三郎文学の「子ども」性について思考を巡らす。通好みの名作から話題の人気小説まで約40本! 心にとどめておきたい日本文学を味わいつくす、本好きによる本好きのための書評エッセイ。

印刷に恋して

松田哲夫 イラストレーション内澤旬子 二七三〇円
編集者の松田哲夫さんが、活版、オフセット、特殊印刷など、多彩で多様な印刷の現場をルポルタージュする。マンガが活版で刷られること。手動写植の仕組み。バーコ印刷……。各現場の職人に仕組みや時代背景などを聞き出していく。デジタル化が進むなか、出版と印刷はどこへいくのか。印刷技術の基礎と出版業界の未来がわかる最良の入門書。

文庫本を狙え!

坪内祐三 一九九五円
『週刊文春』で好評連載中のコラム「文庫本を狙え!」が、ついに一冊になってお目見えする。文庫本の山の中、文庫本という雑踏の中を散歩するように、著者は毎週一冊の文庫を狙って歩いている。いまも。武田百合子、村上春樹、団鬼六、ベンヤミン、勝新太郎、ミラン・クンデラ、竹中労、江藤淳、殿山泰司、中島義道、小林信彦……154の文庫本が乱舞する。手にすると、もう眠ることはできない。

解説屋稼業

鹿島茂 一八九〇円
フランス文学者にして稀代の愛書家、読書家、エッセイストとして知られる氏の初の「解説」集。人は文庫本を手にしたとき、巻末の「解説」から目を通すことが多い。原作を生かすも殺すも「解説」次第。だから「解説」書きは真剣勝負。きっと原作も読みたくなる名「解説」36本に「解説屋稼業」の道を説くエッセイを付す。秀逸な読書ガイドでもある一冊。

読書欲・編集欲

津野海太郎 一九九五円
読みたい本がなければ、自分でつくるしかない。植草甚一。羽仁もと子。淀川長治。今江祥智。片岡義男。……。名だたる編集人間たちの仕事に光をあて、本の活力をもういちど見直してみようと語りかける。編集者としてたのしみつつ本をつくり読んできた著者による編集と読書をめぐるエッセー。

ウイリアム・モリス研究

小野二郎著作集 1 七九八〇円
「私はモリス研究家ではなくて、モリス主義者である」──。著者が一貫してもつモリスへの関心は、モリスが考えた問題を現代社会の最先鋭の課題として活きいきとよみがえらせた。モリスの傑作ファンタジー小説『世界のかなたの森』の訳者であり、偉大なる出版人でもあった著者がのこした、モリスに関する全論考を集大成した決定版モリス研究。

本はどのように消えてゆくのか

津野海太郎 一九九五円
印刷されない本(電子本)もまた本でありうるか。それを考えることが、おのずから、未来の本の実質をかたちづくってゆくことにつながる。活字本と電子本の大共存時代が始まった。小学生時代からガリ版による新聞を発行して以来の机上パブリッシャーである著者が、宮武外骨からDTP、OCR、WWWまで「本」の再定義を試みるエッセイ集。

印刷はどこへ行くのか

中西秀彦 一八五四円
1992年、京都の老舗中西印刷はコンピュータを導入。活版の時代が終わった。あれから5年……DTP、CD-ROMやインターネットなどの電子出版の出現。本とマルチメディアは共存できるのか? 町の印刷屋さんの21世紀に向けた挑戦の記録。

本とコンピューター

津野海太郎 二三四五円
「新しいものには古いものを叩きつぶす力だけではなく、それを思いがけないしかたでよみがえらせる力もある。」DTPや電子本などコンピューターを駆使した新しい本作りの技術が紙を綴じた古い本作りの技術を甦らせる。新旧の技術の奥にひめられた夢の核心をさぐり、いま最大の変革期にある本の文化の未来をきりひらく書下ろし長篇エッセイ。

*表記の定価は2002年3月現在のものです。定価、仕様は予告なく変更する場合があります。