小説、時にはそのほかの本も

川本三郎 二二〇五円
藤沢周平の描く心優しい女性に心揺さぶられ、花田清輝のひねくれた文体に批評精神を見出し、大江健三郎文学の「子ども」性に思考を巡らす……。通好みの名作から人気小説まで39本。心に留めたい日本文学を味わい尽くす、本好きによる本好きのためのエッセイ。

内田魯庵山脈──〈失われた日本人〉発掘 
山口昌男 六九三〇円
一度も流行児にはならなかったけれど、当代きっての文人だった内田魯庵(明治元〜昭和4)。学校などの縦型組織ではない、趣味や遊びに根ざす市井の自由なネットワークに近代日本の諸学(人類学・考古学・民俗学・美術史…)は芽吹き、魯庵はその象徴的存在だった。今では消えてしまった知の風景と粋な日本人達を壮大な規模で掘り起こす歴史人類学の達成。

建築探偵、本を伐る
藤森照信 二七三〇円
人は誰でも読書の楽しみを持っている。ところが読書関係の本といえば、文学や哲学関係者によるものが多い。なぜだ! そこにストップをかけるのが藤森先生である。建築史家であり、建築探偵家であり、路上観察家であり、このところは赤瀬川原平家のニラハウスを建てた建築家だ。同時代を歩く建築家は、どんな本をどう読んできたのだろう。それが初めて明らかになる。こう御期待。

古くさいぞ私は
坪内祐三 二七三〇円
気鋭な評論家は、読書する日々である。趣味ではない。研究とも縁遠い。そんな生活を続けていると、書物の持っているアウラを感じ取り、本の魅力について話し合える人を嗅ぎわける嗅覚も身についてくるのだ。そこから発せられた読書と本に刊するエッセイ・書評と魅力あふれた楽しい一冊である。もちろん神保町との付き合い方もある。

文庫本を狙え!
坪内祐三 一九九五円
『週刊文春』で好評連載中のコラム「文庫本を狙え!」が、ついに一冊になってお目見えする。文庫本の山の中、文庫本という雑踏の中を散歩するように、著者は毎週一冊の文庫を狙って歩いている。いまも。武田百合子、村上春樹、団鬼六、ベンヤミン、勝新太郎、ミラン・クンデラ、竹中労、江藤淳、殿山泰司、中道義道、小林信彦……154の文庫本が乱舞する。手にすると、もう眠ることは出来ない。

古本屋 月の輪書林

高橋徹  一九九五円
消えた人、消された人、忘れさられた人。本が人であるなら、古い本から一人でも魅力ある人物を見つけ出し再評価したい。月の輪書林の古書目録「美的浮浪者・竹中労」には一万冊を超える古本が並び、世の本好きをうならせた。古本市場での手に汗にぎる対決、目録作りの醍醐味、どうしたら古本屋になれるのか……。本が乱舞し人が踊りだす奮闘記。

実用書の食べ方 

岸本葉子 一六八〇円
料理本、冠婚葬祭などのマナー集、こころの問題、ビジネス書など、実用書の世界はじつに奥が深い。エッセイスト、書評者として活躍する岸本葉子さんが、さまざまな実用書を試した、悪戦苦闘の日々をつづる体験エッセイ。実用書の効能をとくとともに、現代人の悩みやコンプレックス、欲望を明らかにする。

石神井書林日録

内堀弘 二一〇〇円
近代詩集専門の古本屋さんがある。東京の石神井に店を構え、いまでは二十年が過ぎた。店売りではない。古書目録を全国に発信し店を営んでいる。宮沢賢治、福永武彦、寺山修司らの残した詩集を追う。表舞台から消え去った無名の詩人たちのことばを発掘するユニークな古本屋さんの日々。

読書でござる

白石公子 一八九〇円
十代のときに読みそこねた太宰治。五重人格者を描いた『五重目のサリー』に自分を重ねる。一人で暮すメイ・サートンに共鳴する。詩人・エッセイストがつづる読書の日々。藤沢周平、群ようこ、E・M・フォースターが話しかけてくる。電車のなかで、枕を背にし、恋の小説からミステリーまで、自在に読み自由に楽しむ・、女性のための読書案内。

読書休日

森まゆみ 一九九五円
本を開く、それが私の自由時間……。読む、書く、雑誌をつくる、と活字を愛してやまない著者が綴る、書物をめぐる豊かな世界。幼い心を揺さぶられた『フランダースの犬』、『ゲーテ恋愛誌集』、そして幸田文『台所のおと』……地域・メディア・文学・ライフスタイルなど多彩なジャングルの愛読書のなかから、とりわけすぐれた百冊余をおすすめする。

*表記の定価は2002年1月現在のものです。定価、仕様は予告なく変更する場合があります。