野溝七生子というひと
矢川澄子 二五四八円
大正・昭和の文壇で特異な地歩を占めた作家、野溝七生子。彼女はまた、辻潤をはじめ男たちを引きつけてやまぬ魅惑的な女でもあった。暴君的な父、若き日の恋、四半世紀に及ぶ孤高のホテル暮らし……。その生の軌跡を愛情をこめて証す。「人生を描きだされた女性と描きだした女性の、この世での『団欒』の深さが切々と心をうつ」(読売新聞評)

伝説のジェイン・ボウルズ
ミリセント・ディロン 篠目清美訳 七九五二円
夫ポール・ボウルズの創作の源泉であり、カポーティ、テネシー・ウィリアムズら多くの芸術家を魅了したカルト作家ジェイン。ニューヨークの富裕なユダヤ家庭に生まれ、夫とともに新地タンジールへ。だが、創作の苦悩、同性との破滅的情事のなか病に倒れ、やがてスペインの精神病院で燃え尽きる。その苛烈な生涯と作品を明かす決定的評伝。

ファッションを探して
宮谷史子 一九三七円
いまや、人生80年の時代。おしゃれの楽しみが若者だけの特権だなんて、冗談じゃない! スタイリストとしてファッション・エディターとして活躍する著者が、年齢や性別や世間の約束事など、従来の枠をかるがる飛び越えて、もっともっと豊かで自由なファッションを提案する。思わず自分のおしゃれを見直したくなる、刺激的なエッセイ。

ワンダー植草・甚一ランド
植草甚一 二五二〇円
不思議な国は君のすぐそばにある。焼け跡の古本屋巡りから、色彩とロックの渦巻く新宿ルポまで、20年にわたって書かれた文章の数々。楽しい多色刷りのイラストで構成された、植草甚一の自由で軽やかな世界。「まことに軽妙でしゃれている。とにかく変幻自在。切抜帳を作るように本を楽しんで作りあげているところがよい」(朝日新聞評)

花森安治の編集室
唐澤平吉 二二〇五円
戦後日本を代表する雑誌「暮らしの手帖」。編集長は極め付の頑固者だった。商品テストを発明。斬新なデザイン感覚、自在な文章術……。往年の編集部員が内側から語る花森安治の伝説とその素顔。「死後19年の歳月を経て彫り抜いた師の像。弟子の心根のいじらしさに泣いた」(増田れい子氏評)、「矛盾と体臭までも描きこんだ」(森まゆみ氏評)

ガラクタをちゃぶ台にのせて
さえきあすか 二一〇〇円
一昔前までは、ガラクタとして扱われていた大正時代や戦前までの物が、注目を集めている。アンチモニーの鉛筆削り。竹や木、金網で作られた虫かご。ネクタイ更正器や電話料金箱、博愛マスク、オゾンパイプ、無針紙啜器……。著者の所蔵品から、未だ名もなき品々の来歴とその思い出を語りながら、懐かしい日本をふりかえる、ニュー骨董エッセイ。

ロードショーが150円だった頃 思い出のアメリカ映画
川本三郎 一九九五円
昭和30年代、東京に豪華なロードショー館が続々と誕生した。エリザベス・テーラーの肢体に胸ときめかせ、リッキー・ネルソンの銃さばきに息をのむ。戦後貧しい時代の夢のような体験。ハリウッドが一番輝いていた頃のアメリカ映画もう一度味わう回想の映画館。

馬鹿な男ほど愛おしい
田口ランディ 一四七〇円
恋と仕事とアルコール三昧、疾風怒濤の二〇〜三〇代をすごした著者がいま語る自らの恋愛体験。モテる男・モテる女のヒミツ、恋するモードに切り替わるコツ、二〇年の時を超えて届いたせつない想い、愛とセックスと子供の微妙な関係、私はなぜエロばあさんになりたいか、などなど、女と男のあやうくせつないお話が詰まったオトナの恋愛エッセイ。

できればムカつかずに生きたい
田口ランディ 一四七〇円
疾風怒濤の半生を送ってきた田口ランディは、何について悩み、考え生きてきたか。ひきこもりの末亡くなった兄のこと、大人に絶望していた17歳の頃について、犯罪被害者たちは恨みつらみをどう晴らせばよいか、プチ家出をする少女たちの心情とは……事件、心の病、家族間・世代間の軋轢などを題材に、ケタ違いの説得力でせまる人生指南コラム集。

根をもつこと、翼をもつこと 
田口ランディ 一四七〇円
多発する幼児虐待事件、成人式で暴れる青年たち、8月6日の広島で体験したこと、いまも地雷が埋まるカンボジアの現実……。いま生きていくのは、キツくてたいへんなことだけれど、でも私たちには想像力という魂の翼がある。『できればムカつかずに生きたい』で第1回婦人公論文芸賞を受賞した作者による、待望のエッセイ集、第4弾!

*表記の定価は2002年1月現在のものです。定価、仕様は予告なく変更する場合があります。