アフガニスタンの風
ドリス・レッシング 加地永都子訳  一九九五円
ソ連軍のアフガニスタン侵攻から7年目の1986年、イギリス人女性作家がパキスタン国境の町を訪ね、兵士、難民、女性たちの声を聞き取った。多種多様な民族が集まった独立自尊の民。超大国の圧倒的武力を前にしたとき、この国に何が起きたのか。なぜ戦火はやまないのか。人類をとらえつづける戦争という病を考えるための重要な報告、思索行。

写真集 アフガニスタン
クリス・スティール=パーキンス 二一〇〇円
マグナムの名カメラマンが、日々存在する戦争のなかで人びとが生きている現実を写しとった傑作写真集。結婚式、市場、祭り、賭事に興じる男たち。タリバン、北部同盟の兵士たち。羊飼いの少年、ブルカ姿の女たち。廃虚で遊ぶ子供。アフガニスタン最高の詩人マジルーによる物語詩が挿入され、この国の人びとの哀しみと希望を伝える。

悠久の美ペルシャ紀行
V・サクヴィル=ウェスト 田代泰子訳 三三六〇円
名園シシングハーストの造園家として知られる女性詩人は、一九二六年英国を発ち、「悠久の国ペルシア」に旅立つ。盗賊をかわし、遊牧民と共に荒野をポンコツ車で駆け抜ける。吹雪のなかを、そびえたつ峰々を徒歩で越える。野生チューリップをめで、古代庭園で暝想にふける。凛として、香り豊かな紀行エッセイの名品。

ローマ歴史散歩
エリザベス・ボーエン 篠田綾子訳 二二四三円
ローマを知るには汗を流し、靴底をすりへらすことだ。見るだけのローマはボール紙の傑作にすぎない(ボーエン)。さまざまな遺跡や風景に触発されながら、この永遠の都を歩き、ジュリアス・シーザーからムッソリーニまで、二五〇〇年にわたるローマの街の物語を浮かびあがらせる、英国の代表的女流作家による歴史紀行の名品。

KGBの世界都市ガイド

小川政邦訳 定価二九八二円
ソ連時代のKGB(国家保安委員会)の元諜報部員たちが実名で描く世界の都市ガイド。ロンドン、パリ、東京、ニューヨーク、カイロ……スパイ独自の視点から見た都市の裏側。名所案内、ミステリー、回想録、冷戦時代の秘話などが渾然一体となった前代未聞の証言だ。栄光と悲哀、プライドと後悔が交錯する日々。でもスパイたるもの、 国や体制が変わっても変わらないのは「酒と女と秘密」好き?

極彩色メキシコ巡礼
小野一郎 二五二〇円
メキシコは装飾過剰、不思議なものにあふれている。日本のお盆にあたる「死者の日」のまがまがしさ。極彩色のウルトラバロックの教会群。アステカやマヤの遺跡の壁をうめるレリーフ。宗教と同じ精神が宿る日用品や民芸品の華々しさ。この独自の文化はどのようにつくられたのか。教会や祭りなどをめぐり、その面白さをあますことなく伝えるメキシコ紀行の傑作。

踊る大地球――フィールドワーク・スケッチ
山口昌男 二九八二円
フィールドワークはナイジェリアから始まった。インド、種子島、メキシコ、カリブ海、ペルー……。文化人類学者は世界の村々を歩き描いてきた。スケッチブックを開き点描すること、それは著者にとって自らの思考を鍛えることであった。100点の絵が白い頁の上に踊っている。絵の案内人は杉浦日向子と畑中純である。

日本のミイラ仏をたずねて
土方正志 写真・酒井敦  二六五〇円
きびしい断食修行のすえ、生きながら土中でミイラとなった僧侶たち。芭蕉も参拝した十四世紀の弘智法印から、明治を生きた仏海上人まで、全国18体の即身仏を訪ね歩く。出羽三山の仙人沢、美濃の名だたる古刹、念仏がこだまする京の洞窟……。さまざまな伝承、信者の声、貴重な写真を多数おさめた「即身仏紀行」。カラー口絵8頁。

石仏の楽しみ方
日本石仏協会編 二三四五円
何を祈るのか、路傍の石たち。表情もきびしい顔、やさしい顔、笑った顔などさまざま。日本国中に散らばる四季折々の姿を写真に収め、その楽しみ方を伝授する。祈るだけではない。絵に描く、自分で彫る、拓本を取る方法も紹介。さあ、小さな仏たちに会いに行こう。

少年キム
ラドヤート・キプリング 斎藤兆史訳 二九九三円
あるときは裏町のヒンドゥー小僧。あるときはエリートの英国少年。あるときは高僧の一番弟子。あの子は誰だ??前世紀末インド、英露のスパイ合戦を背景に東西それぞれの知恵と流儀を生きるみなしごキム。その冒険と成長を壮大なスケールで描くノーベル賞作家の最高傑作!「キプリングは混沌をやすやすと現前とさせる」(丸谷才一氏評)

*表記の定価は2001年12
月現在のものです。定価、仕様は予告なく変更する場合があります。