古本屋 月の輪書林

高橋徹  一九九五円
消えた人、消された人、忘れさられた人。本が人であるなら、古い本から一人でも魅力ある人物を見つけ出し再評価したい。月の輪書林の古書目録「美的浮浪者・竹中労」には一万冊を超える古本が並び、世の本好きをうならせた。古本市場での手に汗にぎる対決、目録作りの醍醐味、どうしたら古本屋になれるのか……。本が乱舞し人が踊りだす奮闘記。

内田魯庵山脈 「失われた日本人」発掘
山口昌男 六九三〇円
埋もれていた内田魯庵の小篇に、失われた知の原郷が隠されていた──。近代日本の諸学、人類学、考古学、民俗学、美術史……は、学校のようなタテ型でない趣味や遊びに根ざした市井の自由なネットワークに芽吹き、魯庵はその象徴的存在だった。本書は、魯庵を手がかりに、近代日本の知の最良の部分と、粋な日本人たちを壮大な規模で掘り起こす、歴史人類学の達成である。

古くさいぞ私は
坪内祐三 二七三〇円
気鋭な評論家は、読書する日々である。趣味ではない。研究とも縁遠い。そんな生活を続けていると、書物の持っているアウラを感じ取り、本の魅力について話し合える人を嗅ぎわける嗅覚も身についてくるのだ。そこから発せられた読書と本に刊するエッセイ・書評と魅力あふれた楽しい一冊である。もちろん神保町との付き合い方もある。

橋浦泰雄伝 ──柳田学の大いなる伴走者

鶴見太郎 二七三〇円
表題の橋浦泰雄とは? 柳田国男の高弟であり、柳田学という今につながる学問を組織した人物である。生協協同組合の創設者でもある。学歴は小学校卒。独学で文学や民俗学を学び、作家・尾崎翠や有島武郎との出会い、柳田国男との交流などを通じ、暮らしの中に役立つ民俗学を創り出した。歴史に埋もれた民間学者を、新進気鋭な歴史学者が追跡していく。

建築探偵、本を伐る
藤森照信 二七三〇円
人は誰でも読書の楽しみを持っている。ところが読書関係の本といえば、文学や哲学関係者によるものが多い。なぜだ! そこにストップをかけるのが藤森先生である。建築史家であり、建築探偵家であり、路上観察家であり、このところは赤瀬川原平家のニラハウスを建てた建築家だ。同時代を歩く建築家は、どんな本をどう読んできたのだろう。それが初めて明らかになる。こう御期待。

本の都市リヨン
宮下志朗 三六七〇円
フランス、ルネサンス期。ヨーロッパの一大出版センターとして首都パリとしのぎをけずった「大市」の都市リヨン。ラブレーの作品をはじめ、数々の特異な書物を輩出したこの都市は、だが、書物の出現から百年余、歴史の表舞台から突然姿を消す。印刷・出版史上の黄金都市リヨンの興亡をあますところなく描きだした力作一〇〇〇枚。

本はどのように消えてゆくのか
津野海太郎 一九九五円
印刷されない本(電子本)もまた本でありうるか。それを考えることが、おのずから、未来の本の実質をかたちづくってゆくことにつながる。活字本と電子本の大共存時代が始まった。小学生時代からガリ版による新聞を発行して以来の机上パブリッシャーである著者が、宮武外骨からDTP、OCR、WWWまで「本」の再定義を試みるエッセイ集。

本とコンピューター

津野海太郎 二三四五円
「新しいものには古いものを叩きつぶす力だけではなく、それを思いがけないしかたでよみがえらせる力もある。」DTPや電子本などコンピューターを駆使した新しい本作りの技術が紙を綴じた古い本作りの技術を甦らせる。新旧の技術の奥にひめられた夢の核心をさぐり、いま最大の変革期にある本の文化の未来をきりひらく書下ろし長篇エッセイ。

実用書の食べ方 

岸本葉子 一六八〇円
料理本、冠婚葬祭などのマナー集、こころの問題、ビジネス書など、実用書の世界はじつに奥が深い。エッセイスト、書評者として活躍する岸本葉子さんが、さまざまな実用書を試した、悪戦苦闘の日々をつづる体験エッセイ。実用書の効能をとくとともに、現代人の悩みやコンプレックス、欲望を明らかにする。

ぼくは本屋のおやじさん
早川義夫  一三二六円
本と本屋が好きではじめたけれど、この商売、はたでみるほどのどかじゃなかった ──小さな町の小さな本屋のあるじが綴る書店日記。「素直に語れる心のしなやかさがある。成功の高みから書かれた立志伝には求めがたい光沢が見いだせる」(朝日新聞評)「出版が直面する様々な問題を考え直す上で役に立つだろう」(日本経済新聞評)


*表記の定価は2001年10
月現在のものです。定価、仕様は予告なく変更する場合があります。