写真論
スーザン・ソンタグ 近藤耕人訳 一四〇〇円
現代は写真の時代である。だれもがカメラマンで、なにもかもが被写体になる。写真がわれわれの意識を支配し、現代文化の隠れた構造を決定づけていることを分析する、現代アメリカの最もラディカルな批評家の本格的写 真文化論。アッジェ、アーバスらの作品批評、ベンヤミン、ボードレールらの写 真についての断章を収める。

複製技術時代の芸術

ヴァルター・ベンヤミン  編集解説・佐々木基一 一九九五円
複製の技術の発見は芸術のありかたを根元から変革した。芸術の私有観念を排しきった複製技術の意味をまっすぐにみすえ、破壊的要素をになう弁証法の推進力を欠いたすべての文化史的芸術を真向から否認した、ベンヤミンの先駆的、独創的な映像芸術論。注目の二大論文「複製技術の時代における芸術作品」「エードゥアルト・フックス」を収録。

陶酔論
ヴァルター・ベンヤミン 飯吉光夫訳 二五四八円
1930年前後のヨーロッパ。ベンヤミンは人為的な〈陶酔〉を通して翳りゆく時代の真の姿をとらえようとした。E・ブロッホらと試みた麻薬服用実験、酩酊状態での街の散歩……ベンヤミンの知られざる薬物陶酔への傾倒が明らかになるとともに、パッサージュ論、アウラ論の基礎ともなった、精神の彷徨の軌跡を辿ることのできる貴重な一書。

レニ・リーフェンシュタール ―― 20世紀映像論のために
平井正 二四一五円
第三帝国の美神か。最高の映像作家か。オリンピック記録映画『民族の祭典』でナチスドイツの栄誉をになう映画監督となり、戦後もあくなき映像美の追求を続けるレニ。多彩な資料をもとにその生涯と仕事をだどり、美と時代との関わりに迫る力作評論。「現在のコマーシャルやスポーツのありかたを考えるうえでも示唆的な視点」(日本経済新聞評)

フォトガイド 東京歩き
木戸征治  一九三七円
こんなところが東京にあったのか。樋口一葉が暮らした本郷の露地。中世の土木技術を伝える羽村の井戸。隅田川の流し雛。開業当時の面 影を残す地下鉄稲荷町の駅。新宿御苑のプラタナスの巨樹……。次の休日に訪れてみたくなる東京の、はとバスの行かない名所旧跡79か所を、つややかな写 真と軽やかなエッセーで案内する。

ポラエヴァシー
荒木経惟写真、飯沢耕太郎編 二四一五円
女に猫に焼肉に枯れた花…。オモチャ箱をひっくりかえしたようなオールカラー666点もの写真はすべて、アラーキーの目が見て指が触れた現実の生きた標本なのだ。限りなく未完成で生々しいポラロイドの特性を存分に発揮し、愛おしい日々の瞬間を真四角なフレームに定着させた初の本格的ポラロイド写真集。街を口説き女を口説くアラーキーの日常。

風の道 雲の旅
椎名誠  二六五〇円
マゼラン海峡に面した町で主人を待つ一匹の犬。モンゴルの草原で長いキセルから小さな煙りを吐き出している老人──旅する椎名誠の脳裏をよぎった、忘れがたい風景と人生の一瞬。心にしみいる24篇の物語。「物語に写 真が付けられるのではなく、まず写真があって、そこに物語を創造するという試みがおもしろい」(『山と渓谷』評)

ふたりの画家 ──丸木位里・丸木俊の世界
本橋成一写真録  三二六二円
丸木位里85歳、丸木俊75歳。「原爆の図」から四十年、ふたりで生きてきたひとすじの道。日常生活から新たな創作の現場沖繩まで、民衆の記録を撮り続けてきた写 真家が追う。「何度見てもあきない。みごとな夫婦図をみる思いがする」(朝日新聞評)「この姿勢だから、戦争へ向かう人間の愚かさを描けるのだと納得できるのだ」(毎日新聞評)

魚河岸 ひとの町

本橋成一写真集  五〇四六円
東京・築地・魚河岸。地球上のすべての海から、この町に魚が集まる。その魚をもとめて人が集まる。朝のセリ場で、仲卸商の店先で、雪の海幸橋で、魚をめぐる人々の息づかいを鮮やかに捉えた大型写 真集。特別エッセー「わたしの魚河岸」戸板康二・加藤武・黒田杏子・内田栄一・海野弘・尾村幸三郎・藤森照信・如月小春・森田誠吾氏。

写真集 アフリカの歌
内藤忠行写真 二九四〇円
灼熱の太陽が照りつける原色の大地アフリカ。サバンナに息づく樹木、草花、動物、鳥、虫、そして人間たち……。ジャズに導かれ、その源アフリカに魅了された気鋭の写真家の鮮烈な写真集。文=羽仁進・日高敏隆・東野芳明・桑原甲子雄ほか。



*表記の定価は2001年10
月現在のものです。定価、仕様は予告なく変更する場合があります。