最近の疫学調査によれば、約一〇〇〇万人もの男性が悩んでいるというED=勃起不全は、ペニスの病であると同時に「心の病」「関係性の病」でもあります。とくに最近顕著になっている若年層におけるEDの多くは、性交時のトラウマ、ストレスなどの心理的要因によってひきおこされているものと考えられます。本書は、多くの男性の悩みのタネ、自信喪失の原因となっているEDという病について、メンタルな面から分析し、回復への道をさぐるメンタル・ヘルスの手引き書です。
 初めてのセックスでの失敗が原因でEDになり女性に対する自信を失い廃人寸前になった青年、ドメスティック・バイオレンスが原因で妻から離婚を切り出されEDになったエリートサラリーマン、自らのEDを全く気にせずスタイル抜群の風俗嬢と同棲す35歳の男性など、さまざまなED患者の原因・経過・結果を追うルポルタージュの章と、どういう状態をEDというのか、何科にかかればよいのか、どういう治療法があるのかなど、病としてのEDを具体的に治療するノウハウを紹介する章の2本だてで構成。
 著者は、男性問題の自助団体「メンズリブ東京」代表で、男性の心の問題の専門家。身体的/機能的な問題とだけ捉えられがちなEDに、「心の問題」という視点を導入してEDからの回復の道を示唆する本書は、EDに悩む男性とそのパートナーにとって得難い福音にとなるはずです。