写真論
スーザン・ソンタグ 近藤耕人訳 一四〇〇円
現代は写真の時代である。だれもがカメラマンで、なにもかもが被写体になる。写真がわれわれの意識を支配し、現代文化の隠れた構造を決定づけていることを分析する、現代アメリカの最もラディカルな批評家の本格的写 真文化論。アッジェ、アーバスらの作品批評、ベンヤミン、ボードレールらの写 真についての断章を収める。

ポラエヴァシー
荒木経惟写真、飯沢耕太郎編 二四一五円
女に猫に焼肉に枯れた花…。オモチャ箱をひっくりかえしたようなオールカラー666点もの写真はすべて、アラーキーの目が見て指が触れた現実の生きた標本なのだ。限りなく未完成で生々しいポラロイドの特性を存分に発揮し、愛おしい日々の瞬間を真四角なフレームに定着させた初の本格的ポラロイド写真集。街を口説き女を口説くアラーキーの日常。

お葉というモデルがいた
金森敦子  二三四五円
竹久夢二のモデルとして名高いお葉は、責め絵画家・伊藤晴雨と洋画家・藤島武二のモデルでもあった。まったくタイプの違う画家に、それぞれ多大なインスピレーションをあたえたお葉。画家たちは彼女に何を見たのか? 画家とモデルの抜き差しならぬ関係を、膨大な資料によって読みとき、大正を生きた希有なモデルの生涯をあきらかにする。

レニ・リーフェンシュタール ──20世紀映像論のために
平井正 二四一五円
映画『意志の勝利』『民族の祭典』でナチスドイツを代表する映画監督になり、戦後はアフリカのヌバ族や海中をテーマとする写真家として今も活躍するレニ・リーフェンシュタール(1902〜 )。本書は芸術と道義性が分裂し、「美」が利用される状況にレニの作品を通して迫った20世紀文化論。レニ関連資料の決定版。1930年代の貴重な写真を多数収載。

悲情城市の人びと ──台湾と日本のうた
田村志津枝  一九三七円
一九八九年ヴェネチア映画祭のグランプリに輝いた台湾ニューシネマの傑作『悲情城市』。映画のなか、弾圧される台湾の青年たちが日本の戦前の流行歌「幌馬車の唄」をうたう。この歌は台湾でどのように歌いつがれていたのか。人々のなまの声を紡ぎ、歴史の波間にゆれ動いた近くて遠い国台湾の悲しみを追う、書下ろし傑作ノンフィクション。

台湾人と日本人 ──基隆中学「Fマン事件」
田村志津枝 二〇三九円
半世紀前、日本統治下の台湾の基隆中学で、日本人とともに学ぶ台湾人生徒が特高に連行された。噂された秘密結社による独立運動はあったのか。いじめ。警察への密告。台湾人と日本人、先生と生徒との確執。戦時下の植民地で息をひそめて生きた少年たちの思いがいま明かされる。歴史の波に翻弄される人生をたどる力作ノンフィクション。

テレサ・テンが見た夢 ──華人歌星伝説

平野久美子  一八三五円
テレサ・テンは台湾軍人の娘として生れた。しかしその歌声は国境や政治体制を越え、全世界13億の華人(中国人)の心を慰めつづけた。彼女の最期の夢。それは全ての中国人の真の「祖国」である中国の姿だった。台湾、香港、大陸中国、東南アジア、欧米と多くの人々に取材し、現代中国情勢の内側を生きぬいた彼女を描く力作ノンフィクション。

インテリアと日本人
内田繁 二一〇〇円
畳の部屋はちゃぶ台ひとつでダイニングに、ふとんを敷けば寝室に。障子や襖は気配まで遮断しないやさしい仕切り――いま、日本の伝統的身体・空間感覚がインテリアデザインに生かされ、世界で高く評価されている。わが国を代表するインテリア・デザイナーが、創作の実際に則して〈日本的空間とインテリア〉の特質を解きあかした本。

20世紀をつくった日用品
柏木博  二四一五円
この100年はモノが主役だった。ファストフード、自動販売機、ポールペン、掃除機、エレベーター、永久機関、パソコン……。今世紀に入って、爆発的に普及したさまざまなモノたちの起源をたどれば、大量 生産、使い捨て、衛生観念、プライバシー、情報伝達など、20世紀文化の特徴が見えてくる。デザインから見る20世紀の日用品博物館。

野溝七生子というひと
矢川澄子 二五四八円
大正・昭和の文壇で特異な地歩を占めた作家、野溝七生子。彼女はまた、辻潤をはじめ男たちを引きつけてやまぬ魅惑的な女でもあった。暴君的な父、若き日の恋、四半世紀に及ぶ孤高のホテル暮らし……その生の軌跡を愛情をこめて証す。「人生を描きだされた女性と描きだした女性の、この世での『団欒』の深さが切々と心をうつ」(読売新聞)


*表記の定価は2001年9
月現在のものです。定価、仕様は予告なく変更する場合があります。