チェルノブイリ診療記

菅谷昭 一九九五円
世界を震撼させたチェルノブイリ原発事故。近隣国ベラルーシは、事故後も子どもたちの甲状腺ガンが激増するなど、多大な被害をこうむった。その首都ミンスクの国立甲状腺センターで、とまどい、葛藤しながらも治療にあたる日本人医師がいる。自らの人生をかけ、医療現場の最前線に一人とびこんだ医師がつづる、知られざるチェルノブイリの現実。

がん患者学
柳原和子 二七三〇円
自らもがんを患った著者が、五年生存をはたしたがん患者20人に深く、鋭く迫ったインタビュー集。患者たちは誰もが、代替医療、東洋医学など、複数の療法を取り入れ、独自の方法をもっていた。それらと病気への心構えは、患者と家族にとって参考とばかりでなく大きな励みとなるだろう。孤立無援に闘ってきた、患者の知恵を集積する、患者がつくるがんの本。

ハイ、こども診療所です
梅村浄 一九三七円
アトピー性皮膚炎。気管支ぜんそく。こどもの言語障害。学校へ行こうとすると頭が痛くなる──。こどもの身体と心にかんする、親ならば誰もがいだく不安と、こども自身が直面する悩みに、ベテランの女医さんがあたたかく答える36篇のエッセー。各章末には、その症例にかんする基礎知識を加え、育児の小百科としても役立つようにした好著です。

雨のち晴子──水頭症の子と父のものがたり
山下泰司  一八九〇円
生まれてきた子どもは水頭症だった。世界一周旅行にも出かけていたお気楽フリーランス夫婦の生活が、“ハルパン”が生まれてから一変。はじめて生まれてきた子どもに障害があった時、親は何に不安を感じ、どう行動するのか。未知のことがらに対して持ち前のバイタリティで立ち向かう、普通の家族の普通じゃない日常を綴る「子育て」エッセイ。

患者と医者は本当にわかりあえるか
堀夏樹  一六八〇円
何人もの末期がん患者を看取ったひとりの医者が、なぜインフォームド・コンセントが必要なのかを考えてゆく。医療とは病気を治すことだけで終わるものなのか。医者は患者に何ができるか。そして母をがんで亡くし、はじめてわかる患者の家族の気持ち。不安と迷い。試行錯誤をくりかえしつつ患者と医者のよりよき関係をさぐる真摯で切実な記録。

癌とたわむれて
アナトール・ブロイヤード 宮下嶺夫訳  一九三七円
新聞の名書評者として活躍していた著者が癌を告知された。彼は治療を記録し、病と死の文学をひもとく。理想の死を考え、患者にとっての理想の医師を考える。そして病をわがものとし、乗り越えるのに最も必要な、自分なりの死に臨むスタイルを探究する。告知から14ヵ月、死の瞬間まで自分をみつめた感動のメモワール。サックス博士絶賛の書。

医学は何ができるか

ルイス・トマス 石館康平、中野恭子訳  二八五四円
好奇心にみちた科学者の目と、患者に触れるあたたかい手。アメリカを代表する医学者の原点は、町医者の父が患者と親身につき合う姿だった。抗生物質の導入で、死病が激減したインターン時代の「革命」。免疫学に没頭した研究室の日々。看護婦だった母の思い出──自らの歩みを綴りつつ、「もっとも若い科学」である医学の今と未来を語る。

もうひとつの手話 ──ろう者の豊かな世界
斉藤道雄 一九九五円
日本には二つの手話がある。日本語を手指で表した〈手指日本語〉とろう者本来の言葉〈日本手話〉。テレビや通訳で見かける多くは〈手指日本語〉。一方、ろう者は〈日本手話〉でこそ本当の気持ちを表せるという。音声語とは全く異なる独自の単語、文法をもつこの豊かな言語を明かし、知られざるろう社会を描き出す、秀逸なノンフィクション。

これがボランティアだ!
森口秀志 編 二五二〇円
ここ数十年で、人類を取り巻く環境は大きく変わった。大規模な原発事故、オゾン層の破壊、クローン技術と人はなぜボランティアをするのか。生きがい? 自己実現? ネットワークづくり? 自然・環境、子ども、福祉、災害、人権、文化、情報、まちづくり……10代から70代まで、さまざまな現場で生き生きと活躍する50人の生の声を聞きとった大型インタヴュー集。地域の支えあいからNPO・NGOまで、新しい生き方を選択した人々の熱い言葉から、今ニッポンが抱えるあらゆる問題が鮮やかに浮かびあがる。

伴走の記 母をおくるその日まで
島田玲子 一八九〇円
老いていく母をたった一人で看取りながら、母からもらった豊かな時間に思いを馳せる。幼少期に見た数々の手仕事。仕事を持ち、独立して生きていくという教え。18年にわたる介護の間、 枕元でかわした愉快な会話。病床にふす母からあたえられた勇気と喜び。……。これからの高齢化社会に向けて、老親との暮らし、介護、老後のありかたを切実につづっていく。


*表記の定価は2001年9
月現在のものです。定価、仕様は予告なく変更する場合があります。