序 古くて新しい住居形態──古民家再生住宅

第一章 なぜ今、古民家の移築なのか

T 日本人の住まいは本当に豊かになったのか
 高くてどこか安っぽい新建材できた日本の住宅
 便利な新建材の家と不便なムク材の家
 安直な便利さの追求が引き起こしたシックハウスの悲劇
 高気密住宅ブームは住む人のため、それとも建てる人のため
 豊かな生活を取り戻すために日本の住文化を見直す

U 心から満足して住める日本の民家を建てる
 住宅購入に掛かる生涯支出の落とし穴
 三○年後には、今建っている住宅もすべて消える
 戦後の急ごしらえの住宅事情はいつまで続くのか
 古い民家の解体後に見えてくる古材のリサイクル
 自由な発想で古民家の移築を考える


第二章 都市生活者のための古民家の建て方

T 古民家を移築する前の下準備
 そもそも古民家とはいったい何か
 古民家の移築再生は一様ではない
 古民家移築の窓口は誰か
 古民家向きの建築家はいるのか
 よい建築家の見分け方
 古民家移築にかかる費用の構造

U 憧れの古民家を探す
 古民家を移築するまでのプロセス
 移築する古民家を決める
 古民家を手に入れるための方法
 間違いのない古民家の選び方
 木を見て、家を判断する

V 現代版民家を設計する
 古民家をどこまで忠実に復元するか
 脆弱な基礎を直す
 古民家の寒さ対策を考える
 明るく、使いやすい間取りに変更する
 古民家のディテールを決める

W 都市に古民家を建てる
 古民家移築に適した業者とは
 古民家をいよいよ解体する
 古民家を移築する


第三章 古民家を取り入れた暮らしを学ぶ

【事例1 完全移築】
体と心を癒す自然素材にこだわった古民家移築
 シックハウス症候群が古民家との出会い
 家の魅力は機能や性能だけではない
 将来のライフスタイルの変化に対応できる余裕の設計
 体にいい住宅は心も健康にする

【事例2 部分移築】
月日を経ることで味わい深くなる古民家の魅力
 資源を保護し、健康に良く、かつ個性的な古民家移築
 柱を磨くことで、自分で家を建てる歓びを実感
 本物の材を使った家だけに許される味わい

【事例3 構造材として古材を利用】
古今東西の素材を詰め込んだ建坪一五坪のバリアフリー住宅
 施主と建築家のコラボレーション
 懐かしさと便利さを兼ね備えた現代版の蔵
 納得のいく仕事をするためにかかった四年間
 柱の一本一本に建築家の思いがこもる
 老後でも人が集まる孤立しない家

【事例4 構造材として古材を利用】
新旧の材や建具をバランスよく配したモダンな家づくり
 最初から住みたい家のイメージなんかあるはずがない
 「おもしろそうだったから」古材を採用
 モダンな外観と古風な内装の絶妙なバランス

【事例5 古材によるリフォーム】
パネル構法住宅を古材によるリフォームで一○○年住宅に
 築二○年は建て替えの適齢期か
 パネル構法を民家風にリフォームする
 天然の無垢材を贅沢に使用した理想のリビング
 古材によるリフォームで親から子へと住み継ぐ

【事例6 古材によるリフォーム】
都心のマンションを英国の田舎屋風に大改造
 マンションの一室に広がる異空間
 クレーン車で窓から5?の大梁を搬入
 古材と漆喰で囲まれた癒しの空間
 マンションの一室にいることを忘れさせる部屋

【事例7 完全再生】
祖母から母へ、母から娘へ、代々住み継がれてきた民家を再生する
 一五○年間、家族の歴史を刻んできた家
 家を建て替えるのではなく、再生させる
 光の方角に家を回転させる
 住む人たちの思いが民家に新たな命を吹き込む

【事例8 部分移築再生】
贅を尽くした数寄屋建築が現代版二世代住宅に生まれ変わる
 残したい建築をいかに残すか
 古材使用は単なるリサイクルではなく新たな創造
 家が体に染みついているから得られる安堵感
 そこに住む人がいつまでも残したいと思う住宅

【事例9 部分再生】
家族の思い出が詰まった玄関脇の応接間が甦る
 玄関脇に備え付けられた洋風応接間の記憶
 大切な一部屋だけでも住み継いでいく
 思い出の一室と共に家の面影も残す

コラム
1 古材は新材より強い?
2 全国に整いつつある古材の流通システム
3 古材利用で固定資産税が下がる
4 伝統構法と耐震性

民家を学ぶ
1 日本の気候風土が生んだ木造軸組構造
2 民家の構造上の工夫
3 民家の屋根と小屋組
4 民家の間取りの変遷

あとがき
監修者あとがき
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古材センター紹介
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