生きている実感を求めて自分の体を傷つける若者たちがいる。”自傷ラー”と呼ばれる彼らのなかには、手首を切り、薬物を過剰に摂取しながら、ゲームのように死とでくわすのを心待ちにしている人も少なくない。
10−20代に広まりつつあるこの問題を解くカギは、一体どこにあるのだろうか。
雑誌を中心に自殺未遂常習者に取材し、「自分を愛せない人たち」との対話を重ねてきた著者は、彼らを取り巻く環境とその生の声に迫り、知られざる実態に光を当てる。
 テレビ局に自殺予告を送りつける中高生たちと、それに対する無責任な自殺報道。自傷するアーチストたちの苦悩の記録。何をやってもダメに思えてしまう構造的な理由……。著者はストレスを生み出す原因と正面から向き合い、新しい一歩を踏み出すための具体的なヒントを探っていく。
「医療への過剰な期待や幻想を捨てたり、現実に何が自分の心身や、自分が生きて周囲で起きているか(あるいは起きていないのか)を知るほうが大切だと感じている。だから、この本で書かれているのは、自殺未遂・自傷をめぐる現実の動きの広がりそのものだ。まずは、そうした現実の大らかさに触れてほしい」(まえがき)
「救済」なんて言葉は願い下げ。手あかのついた「常識」はクソくらえ。そんな目からウロコの真実が見えてくる、「生き抜くための」のノンフィクション。