フランス文学者にして稀代 の愛書家、読書家、エッセイ ストとして知られる鹿島茂氏 による本邦初の「解説」集。 人は文庫本を手にしたとき、 巻末の「解説」から目を通す ことが多い。原作を生かすも 殺すも「解説」次第。だから 「解説」書きは真剣勝負。そ もそも解説は、書評とは異な る書き方の技法がある。著者 による解説書きの要諦とは、
1、オードブルにしてデザート である(最初に読む人と本文 読了後に読む人がいる)。
2、本文のみならず、著者の本 質への理解を含む。
3、独立したエッセイとしての 構成力をもつ。
4、たんなる著者へのおもねり は、読者をシラケさせる、な ど。
解説無用の東海林さだおの 漫画。へんな小説『大菩薩峠』 の過激なキャラクターたち。 泣けてしょうがなかった川本 三郎の過去告白。「問い」で はじまる丸谷才一流エッセイ。 「レーンコート」を「レエン コオト」と書く森茉莉……。 本書はきっと原作も読みたく なる名「解説」35本に「解 説屋稼業」の道を説くエッセ イを付す。秀逸な読書ガイド でもある一冊。