撮影監督──それは最高の映像を追求する現場責任者である。この道30年のキャメラマンが、メガホンを とった椎名誠と三谷幸喜に出会った!
あの話題作の陰にこの人あり。本書は、異業種監督である彼らとともに作った4本の映画を軸に、その汗 と涙の舞台裏を綴ったエッセイだ。
『あひるのうたがきこえてくるよ。』では、なかなか眠らないヒヨコに業を煮やし、粘ること3時間。モ ンゴルロケの『白い馬』では、現地スタッフとのすれ違いから一時は撮影中止の窮地に陥る。『ラヂオの 時間』では台詞が複雑に絡み合う難関シーンに挫けそうになり、公開中の『みんなのいえ』では、演技に 感動してトイレで一人涙を流す??(『みんなのいえ』撮影全日記を収録!)。
予期せぬ出来事と心温まる裏話の数々。スタッフが固い絆を武器に困難を乗り越えていくところが見所だ。 「不思議なのは、お二人(椎名氏、三谷氏)とも、スタッフにひとこと何か言うと、言われた人はコロッ と彼らの味方になってしまう。僕がひとこと言うと、コロッと敵になってしまうのとは大違いなのである (略)。
だから、第二、第三の椎名誠、三谷幸喜かもしれないあなた。スタッフの人選さえ間違わなければ、自分 の世界の映画が撮れるはずです」(あとがきより)。
本書は明日のフィルムメーカーたちへの応援歌でもある。