KGBの世界都市ガイド

小川政邦訳 定価二九八二円
ソ連時代のKGB(国家保安委員会)の元諜報部員たちが実名で描く世界の都市ガイド。ロンドン、パリ、東京、ニューヨーク、カイロ……スパイ独自の視点から見た都市の裏側。名所案内、ミステリー、回想録、冷戦時代の秘話などが渾然一体となった前代未聞の証言だ。栄光と悲哀、プライドと後悔が交錯する日々。でもスパイたるもの、 国や体制が変わっても変わらないのは「酒と女と秘密」好き?

ハンナ・アーレント伝
エリザベス・ヤング=ブルーエル 荒川、原、本間、宮内訳 定価六九三〇円
革命と戦争、全体主義が吹き荒れた時代のなかで、公共性と人間の自由を問いつづけた政治哲学者ハンナ・アーレント。未発表を含む膨大な資料、可能なかぎりの関係者へのインタヴューをもとに、アーレントの全体像に迫る決定版評伝。ハイデッガー、ヤスパース、ブレヒト、ベンヤミン、ショーレム、ブロッホなど著名な人物が登場し、20世紀の迫真のドラマが展開する。「彼女の著作を読むよりもその思想がわかる」と絶賛された待望の翻訳。

ベンヤミン/アドルノ往復書簡
W・ベンヤミン、T・W・アドルノ 野村修訳  五四〇三円
一九三〇年代を代表するドイツの思想家ヴァルター・ベンヤミンとテーオドーア・W・アドルノ。二人が交わした書簡の現存するすべてが初めて集成された。危機の時代に、「共同で哲学することを運命としていた」(アドルノ)二人の、孤独な仕事と友情を、あますところなく伝える121通の貴重な往復書簡集。

イギリスの大聖堂
志子田光雄、志子田富壽子 二七三〇円
大聖堂(カテドラル)とは、キリスト教の教区をまとめる司教の座をもつ教会堂のこと。本書はイギリスにある代表的な20か所を訪ねる「古寺巡礼」案内。王侯、貴族、修道士、庶民が行き交った場所から、イギリスの人びとの生活や心象風景が見えてくる。教会建築の見方、歴史・美術の基礎知識付き。キリスト教文化への入門書、旅の手引きに最適。

ケンブリッジのエリートたち
ディーコン 橋口稔訳 定価三二六二円
英国の名門ケンブリッジ大学に、1820年代、12人のメンバーによって創立され、今日までつづく「使徒会」という秘密会がある。テニスン、ラッセル、ヴィトゲンシュタイン、ケインズ、E・M・フォスター……世界最高の知識人が集ったこの会の謎の足跡を追う。

スコットランド・ヤード物語
内藤弘 定価二三四五円
世界最初の近代警察、ロンドン警視庁(通称スコットランド・ヤード)は、犯罪者うごめく19世紀初頭のロンドンに誕生した。巡査たちの仕事ぶりや組織のしくみ、シャーロック・ホームズ譚に隠れたエピソードなど、知られざる歴史を浮き彫りにする渾身の研究。

戦争とラジオ

G・オーウェル 甲斐、三澤、奥山訳 定価九九九一円
BBC時代、ジョージ・オーウェルは戦時下の1941年から43年まで英国BBC放送に勤めた。植民地インド向けのメディア戦略の現場にいたのだ。祖国英国、そして生地インドのため、検閲や情報操作が錯綜する中で精力的に働く彼は、何を考え、伝えようとしたのか。ニュース原稿、番組台本、書簡など、当時の仕事の全てを網羅したまぼろしの第一級資料集。

英国の紳士
フィリップ・メイソン 金谷展雄訳 定価四三八四円
紳士が見えればイギリスが見える。サッカレー、ジェイン・オースティン、ディケンズなどの作品から、あるいは実在の紳士たちの記録から、たくさんの実例を収集し、イギリス人の理想の行動様式を探った卓抜な英国文化史。「英文学を読む時の座右の書として、あるいは歴史書として貴重な本に仕上がっていることは疑いない」(毎日新聞評)

シャーロック・ホームズの醜聞
小林司、東山あかね 定価一九九五円
世紀の名探偵シャーロック・ホームズを生み出し、成功の絶頂にあったかに見えたコナン・ドイルには、人知れず悩みがあった。胸のすく冒険譚の裏に隠された、一人の男の苦悶と逡巡を、物語の中の些細な言葉やエピソードから鋭く分析。精神医学や哲学の方法論をふんだんに取り込み、ドイルの真実の姿に迫る出色のホームズ論。

名探偵ポワロの華麗なる生涯
アン・ハート 深町眞理子訳 三三六〇円
アガサ・クリスティーが生んだ20世紀最大の名探偵、エルキュール・ポワロ。犯罪捜査という芸を追求し、あまたの難事件を解決したこの男は、いったいどんな人物だったのか?「本書はポワロ物の主要作品を通して、その『生涯』の軌跡をたどり、ポワロの探偵術の特徴を、鮮やかに分析してみせる」(朝日新聞評)。ミステリー研究の白眉。


*表記の定価は2001年6
月現在のものです。定価、仕様は予告なく変更する場合があります。