明治時代にはじまり戦後も続いた博覧会ブーム。博覧会は新製品や発明品が発表され、新しい暮らしや未来を予見させる場所。そして外国の珍品や風習なども見ることができるエキゾチックな場所でもあった。
人々は見世物を見るように、いそいそと博覧会へ行く。
その博覧会に携わった11人のランカイ屋列伝である。
日本で初めてアクロバット飛行の興行をした櫛引弓人。アメリカの博覧会では美しい日本庭園を造り人々を魅了した。
高村光太郎の父・光雲は、仏師。内国勧業博覧会に観音像を出品。その腕で今度は巨大な大仏型の見世物小屋をつくった。
親子二代にわたってランカイ屋だった八日市屋清太郎。数々の博覧会で財をなし、仮説建築のノウハウで、立川市に驚くべき速さで労働者住宅の建設をした。
是非はさておき、西宮球場全体にパノラマを建設し、巨大な戦場を再現した鍛冶藤信。戦後、戦争責任を問われたが、再び「アメリカ博覧会」で顔をだす。
金沢に「宝塚」を創ろうとした平沢嘉太郎。飛行塔を考案した土井万蔵……。
会期が終われば壊されてしまうパビリオン群。その一瞬のために、男たちは知恵と技を競った。民間ディベロッパーたちの大いなる夢の軌跡をたどる。